なかせっとHatena

漫画家「なかせよしみ」がちょっとまとまった文章を公開するためのブログ

第3回いっせい配信企画「創作同人2017年7月」

3回目をむかえました

 昨年11月と今年の3月にひきつづいて、創作同人電子書籍の「いっせい配信」企画の第3回目:「創作同人2017年7月」が来週の月曜の7月17日(海の日)に実施されます。7月14日の現時点で企画には21名の作家が合計28作品の配信登録が確認されています。以下のリンクよりその一覧をご覧になれます。

いっせい配信作品 - 「創作同人電子書籍」いっせい配信企画 

 

「まるかふぇ電書」のエントリー

 当方の「まるかふぇ電書」からもなかせよしみ砂虫隼電子書籍あわせて以下の5タイトルをエントリーさせました。

砂虫さんは5月6日のCOMITIA120にて発行の漫画エッセイ「きんぎょすくい」と現在24巻まで書き続けているのファンタジー漫画「竜の飼い方教えます」シリーズの第3〜4巻の電子化です。

一方、私は同じくCOMITIA120にて発行の大正糸場コメディ「でもくらの糸場」のシリーズの第4巻、そして2013年夏コミにて発行のSFファンタジー・コメディ「蜘蛛の糸リゾート」を電子化です。

 

 

 

 

 

 

 

マグネットの不調とB☆Wの企画協力

さて、この創作同人電子書籍の「第3回いっせい配信企画」ですが、私が「もっとも簡単で安心設計のepub生成法」として提唱している「マグネット」 が前の第2回の頃より生じたシステムトラブルが継続、「epubが生成できない」状況に陥っていました。

 

この背景については漠然として情報だけが入ってくるのですが、もしかすると「今後これは復旧されない」という事態もありえるみたいです。 

https://68.media.tumblr.com/278a20a0f319599a0dc78f7a25ce1360/tumblr_inline_ot1p9g3Ugc1t2eoao_540.png 

BOOK☆WALKERは早々にこの状況を察知して教えてくださり、さらにはB☆W登録で「いっせい配信」 に参加する作家あてに「epubデータ作成の代行サービス」の提供についての詳細を伝えてくれました。これを受けて企画サイドより発信した情報がこちらです。

おかげさまで、実際に今回は「epubデータ作成の代行」を用いてエントリーした作家さんも数名おられた模様で、B☆Wの早い対応のおかげで混乱は生じなかったように思われます。

 

手軽にepubを作れるシステム

ただ、それでも「マグネット」が使えない状況はいろいろ頭が痛い問題です。2月に私はマグネットの活用をプッシュして仕様手順を詳細に解説した本を出したばかりだった、という点もありますが…

y-nakase.jugem.jp

マグネットのように誰でも簡単にepubデータを作成して、それで出来たデータを手元の機器などで確認できる気軽システムがないと、なかなか電子書籍の配信に踏み出す作家さんは増えにくいと考えています。

 代替の手段としては電子出版のVoyagerJapanが提供するRomancerというシステムを提案する声がいくつか届きました。

romancer.voyager.co.jp

今回の「第3回いっせい配信」では秋元なおとさん(メタ・パラダイム)がこのRomancerを使ってデータ作成されたとのことです。そこで、私も試しに使ってみたのですが… システムはマグネットほど『感覚的』には使えないものの、かなり便利に作られていました。原稿の全ページを画像データ化した後にzip圧縮かあるいはpdfにまとめることさえできれば、それをepubに変換するのは簡単です。

…ただ、私がテストしてみた際に、epubデータに内包された画像データが入力データに比べて画質が「ぼやけている」ことに気づきました。その「ぼやけ」は「気にならない程度だ」と考える作家さんもいるとは思いますが、絵が読者の目にどう映るかについて心を砕いている漫画家は多いはず。画質のコントロールが効かないシステムでは私は推奨できないと感じました。

https://68.media.tumblr.com/4e2cd23cf43eba891df15449451daa2d/tumblr_inline_ot2nzcaaTq1t2eoao_540.png

 

 そんななかで、昨日、「第3回いっせい配信」に書き下ろしの作品でエントリーしてくださった斉所さんが思わぬ情報を紹介して下さいました。

  その「急急如律令」さんの作成されたシステムはこちらです。

 今年の4月頃からの作成で、まだいろいろ手を加えられている途中のシステムのようですが、こちらではアプロードされた画像データには一切、手を加えず、そのままepubに内包させる形をとっているので、漫画家が作った画像データの画質がそのまま読者にとどけられます。

まだ、検証がいろいろ必要な段階のシステムのようですが、将来性の期待値は大変に高いと私は考えます。

 

今後の展開と期待

 そんなわけで、作家が用いるシステムの整備がまだいろいろと発展途上にある創作同人電子書籍の世界ですが、

そんな中でも今回の第3回いっせい配信「創作同人2017年7年」では、また力作、怪作がいろいろ揃ったようで、私は一読者としても配信日を大変楽しみにしています。なるべく多くの読者の目に触れて、創作同人電子書籍の販売拡大の一助になればと願う次第です。

 

最後に、6月になってからKindleの売り上げ表示システムが変更され、思わぬデータが表示されるようになりましたので、お見せします。

 

「いっせい配信企画」の「知名度」はまだまだだと思いますが、「これを継続すること」が企画の意義の一端でもあり、同時に知名度をあげていく手段でもあることと信じています。