なかせっとHatena

漫画家「なかせよしみ」がちょっとまとまった文章を公開するためのブログ

第4回いっせい配信企画「創作同人2017年9月」

4回目になります

 7月17日の第3回からわずか2ヶ月ちょっとですが、

創作同人電子書籍の「いっせい配信」企画の第4回目:「創作同人2017年9月」が明後日の土曜の9月23日(秋分の日)に実施されます。9月21日の現時点で企画には17名の作家が合計30作品の配信登録が確認されています。

以下のリンクよりその一覧をご覧になれます。

 

 

これ以外に、予約登録ができないPixiv BOOTHでのエントリーを予定されている作家さんや、まだデータを編纂中という方の情報が伝わっており、また、現時点での企画飛び入りも可能ですので、若干参加は増えると思われますが、参加作家数は20人前後、作品数は30数点ぐらいに収まるものと思われます。

このような企画は「開催の間隔が短くなると参加数は減る」という傾向が自然な状態ですので、参加数の「減少」ほぼ予想通りの状況です。その参加減少が個々の作品の販売にどう影響するかに、今回は注目してきたいと思います。

 

「まるかふぇ電書」のエントリー

当方の「まるかふぇ電書」ではなかせよしみ砂虫隼電子書籍あわせて3タイトルをエントリーさせました。 

砂虫さんのは8月20日のCOMITIA121発行の漫画エッセイ「もぐもぐ」シリーズの最新刊と1999年発行「竜飼い」シリーズの第5〜6巻、私のは8月13日の夏コミ発行の「漫画の先生」シリーズの最新刊です。

 

 

 

 

 

私は実は当初、今回の「第4回いっせい配信」に合わせてもう1冊、新刊の読み切り本を紙冊子に先立って発行する計画していたのですが、原稿の進行は大幅に予定より遅れて、途中より11月3日の「第5回いっせい配信」に照準を切り替えました。

地方イベントへの参加や「いっせい配信」企画の準備等の細々とした作業を優先していたら、知らぬ間に自分の原稿作業が滞っていたという状況ですが、なんとか次回の配信をデッドラインに頑張りたいと思っています。

 

「いっせい配信」をとりまく状況

4回目ともなりますと参加される方々もかなり要領に慣れ、また、マグネットのシステム不良以降懸念となっていた「固定式epub」データ作成の代替手段の情報も行き渡ったようで、大きな混乱はなかった模様です。

これまで毎回、いっせい配信に合わせて企画協力を提供くださったB☆Wは、今回は開催に合わせての事前の大きなアナウンス(参考:前回の企画協力)などはありませんでしたが、今回も「いっせい配信」作品の予約を対象としたコインキャンペーンなどの提供で後押しして下さっています。

 

私自身も、企画サイト内のエントリー書籍のリスト作成や、togetterのまとめ作業にも大部慣れて来ました。

 

自主出版電子書籍に対して「大きな購買層・購読層を確保する」という企画の一大目標は、正直なところまだまだ達成への道のりが長いですが、企画を「長く続けるための地盤固め」はかなり出来てきたように感じます。継続は力となり、企画の知名度となり、いずれは目標の地に立てるのではないか考えています。

 

「企画の意義」を改めて考える

最後に余談となりますが、最近いくつかのイベント参加の際に「いっせい配信企画」の意義について改めて考える機会があったので、その話を書かせていただきます。

 

先日の9月18日に小倉で開催された九州コミティアでは、私はサークルカットに「電子書籍自主配信応援」という文言をサークルカットに書き、参加直前のツイートには「電子書籍の自主配信についての相談ごとを何でも承ります。」という記載を入れてみました。

https://pbs.twimg.com/media/DJ9TvuwVAAAVNOK.jpg

…で、その結果、会場では「電子書籍についての質問がひっきりなしに来た」…などということはなかったものの、2月に発行した「創作同人電子書籍のススメ」は予想に反した売れ行きで完売し、これまでのイベント参加ではあまり誰も手に取らない「いっせい配信広報チラシ」もかなり持って行かれました。

https://pbs.twimg.com/media/DFvLVeUUMAA5Dnl.jpg

本を買われた方、チラシを持って行かれた方が果たして九州地元の方々なのか、遠征して九州にこられた方々だったのかは不明ですが、東京コミティアといま一番「対局の地」にあるコミティアでこういう需要が生じたことは、ちょっと驚きでした。(ちなみに、他の本の売れ行きはまあまあ予想通り)
九州コミティアの次回開催は来年秋だそうですが、もしかしてこの疎らな開催に対する需要の間を埋める形で電子書籍の配信及び購読への要求を高めているような気がしました。

東京のコミティアに気軽に通える人々が住んでいる場所は日本の中ではかなり小さい一方で、創作同人に対するニーズは全国に散らばっています。電子書籍配信およびそれを後押しする「いっせい配信」が果たせる役割は存外に大きいはずです。

 

 一方、9月の初めに板橋で開催されたMGM2.18では、すでに電子書籍配信をされている作家さんに「いっせい配信」企画への参加を打診したところ、「自分のところの電子書籍の配信開始時期は都合があって企画には合わせられない」という回答でした。ただ、その上で「企画には興味があるので、配信がもう済んでいる本を企画の配信日に合わせて広報することでエントリーを認めてもらえないか?」という打診を逆に受けました。

企画のひとつの目的としては、「なるべく多くの自主配信電子書籍の情報を世の中に広めること」もあるので、この提案は一考の余地があると思い、この打診をいったん自分のスペースに持ち帰らせてもらいました。

しかし、イベント時間中に私は考え直しました。「いっせい配信」を行う一番の目的は電子書籍を自主配信する作家にとって必須な各人のインターネット上の「広報活動」を効率化することです。「電子書籍配信の広報活動に力を入れるべき時期」である「配信開始日」を多くの作家と揃え、さらにお互いの広報活動を互助することで、各人の持つわずかな広報力を大きく増幅できるという仕組みです。

そのためにはやはり、企画エントリーには「電子書籍の配信開始日を指定日に揃える」という条件はやはり曲げることはできません。また、この条件を守ることで、まだ十分には知名度を得ていないこの企画ではありますが、参加に価する程度の効力は発揮していると思います。

そんなわけで、MGMにて遭遇したこの提案は上記の考え方を示して断らせていただきました。

 

「いっせい配信」企画が行われる意義とそれにエントリーする際に参加者が力を入れるべき内容について参考になる話ではないかと思い、この話を記させていただきました。

 

第3回いっせい配信「創作同人2017年7月」レポート

夏のコミティアが終わるまで原稿に忙殺されていて、申し訳ありません。去る7月17日に第3回いっせい配信「創作同人2017年7月」が実施されました。その際の経緯と結果についてまとめたいと思います。

 

企画のエントリー状況

まず、今回エントリーしました作品の紹介です。表はエントリーが確認された著者のお名前順となっています。

 

企画エントリー本

著者

発行元

配信先

1

生物粘土

八木ナガハル

人類圏

Kindle

2

天下界の無信仰者(イレギュラー)4 慈愛連立編

せいや イラスト c.c.R

DS文庫

BOOK☆WALKER
Kindle

3

きんぎょすくい

砂虫 隼

まるかふぇ電書

BOOK☆WALKER
Kindle
Paboo
Kobo
iBooks

4

竜の飼い方教えます03

砂虫 隼

まるかふぇ電書

BOOK☆WALKER
Kindle
Paboo
Kobo
iBooks

5

竜の飼い方教えます04

砂虫 隼

まるかふぇ電書

BOOK☆WALKER
Kindle
Paboo
Kobo
iBooks

6

でもくらの糸場4

なかせよしみ

まるかふぇ電書

BOOK☆WALKER
Kindle
Paboo
Kobo
iBooks

7

蜘蛛の糸リゾート

なかせよしみ

まるかふぇ電書

BOOK☆WALKER
Kindle
Paboo
Kobo
iBooks

8

チャンバラ・ヴァルキリー 下

えしま長月

電脳吟遊館

BOOK☆WALKER 

DiGiket

DLSite

9

国立安楽死センター コードネーム:ブラッド・コード

蓮崎文々

蓮崎文々

Kindle

10

魔導世界の不適合者 ~魔術学科の劣等生~(1)

蓮崎文々

蓮崎文々

BOOK☆WALKER

Kindle

Kobo

11

とある理系の大学院【2】

小出よしと

小出よしと

BOOK☆WALKER

Kindle

12

ガラスパーラ通りの歌姫

秋元なおと

メタ・パラダイム

BOOK☆WALKER

Kindle

13

すずめノみくろ5

十野七

ミニマムセンチュリー

BOOK☆WALKER

Kindle

BOOTH

14

ナナミインターナショナル42

十野七

ミニマムセンチュリー

BOOK☆WALKER

Kindle

BOOTH

15

アイルランド物語選集

mao

アトリエmao

BOOK☆WALKER

Kindle

16

Sの世界、Mの世界

野浦湘

野浦書院

Kindle

17

悪魔と乙女のABC 番外編&お試し版

著者 野浦湘

イラスト まるかた

野浦書院

BOOK☆WALKER

Kindle

Kobo

18

9月の海の触手の姫

新谷明弘

新谷明弘

BOOK☆WALKER

Kindle

Kobo

19

1%の女の子

舞村そうじ

RIMLAND

BOOK☆WALKER

20

魔法少女のルール e.p.

舞村そうじ

RIMLAND

BOOK☆WALKER

21

レモネード e.p.

舞村そうじ

RIMLAND

BOOK☆WALKER

22

Long Long Journey

小津端 うめ

千秋小梅うめしゃち支店

BOOK☆WALKER

23

墨汁Aイッテキ!2017六月号

僕墨汁

僕墨汁

BOOK☆WALKER

24

よんこままんが あちこさん 3巻

藤村阿智

メルプのお部屋

BOOK☆WALKER
Kindle

25

メルプのまんが 3

藤村阿智

メルプのお部屋

BOOK☆WALKER
Kindle

26

ナゾトキ町の不思議な日々

ナイタロー

弐人国家

BOOK☆WALKER

27

ファーストノーズ

八田林檎

ロクハチ屋

BOOK☆WALKER

28

かっぱとせ 天狗殺し編

斉所

斉所

BOOK☆WALKER
Kindle

29

魔界大決戦 (まり王)

内海まりお

内海まりお

Kindle

30

魔法使いの歌歌い: 魔法使いのお時間よ外伝 (まり王)

内海まりお

内海まりお

Kindle

31

たちばな学園女子寮物語~煉獄のサウナ編

新居さとし

新居さとし

BOOK☆WALKER

32

さくら

smison

smison

BOOK☆WALKER
Kindle

33

ごはんだより

たかみ弌

ein

BOOTH

34

ケモ女子ひみつ会議ぜんぶまとめ

maikata

マイカタ

BOOTH

 

 今回エントリーした作家数は26人、作品数は34作。前回に比べて参加人数は少し増加、作品数は減少でした。エントリーした書籍に関する詳細は企画サイト内の一覧から見られます。

https://sousaku-doujin-epub.jimdo.com/いっせい配信作品#創作同人2017年7月 

 

BOOK☆WALKERのキャンペーン等

毎回のいっせい配信にあわせての協力企画を提示いただいているB☆Wですが、今回も「発売日指定の配信申込み締切の延長」や「無料のデータ作成代行」とともに「いっせい配信企画」参加作品に対する書籍価格の20%のコインを還元するキャンペーンを開催いただけました。今回もキャンペーン期間は書籍に販売に大きな後押しになった模様です。

https://pbs.twimg.com/media/DE4Vgq6VYAAaksO.jpg

ただ、「いっせい配信企画」自体は発売日に2〜3日の誤差が生じてもよいものとしている一方で、B☆Wにて7月17日より遅れて発売される本をキャンペーンに組み込むのはシステム的に難しいようで、今回は1作品、smisonさんの「さくら」のみが「企画に参加していてもキャンペーンは適用されない」という状況になりました。

https://68.media.tumblr.com/380b308272348b10566ac28dff943ac1/tumblr_inline_ov8a4p6LlS1t2eoao_540.png

 

B☆Wは今後も「いっせい配信」あわせにキャンペーンを展開していただける模様ですが、いっせい配信日に遅刻した書籍のへの対応は今後も難しいようです。B☆Wを活用される方なるべく早い目の配信登録を済ませることを推奨する次第です。

 

いっせい配信の結果 

今回もまた「いっせい配信」の配信日前後は、企画参加の作家のみなさんが、エントリーした書籍について、あるいは企画そのものについての情報を発信して、この企画「#創作同人電子書籍」のハッシュタグtwitterをにぎわせて下さいました。

画像つきのツイートを発信された作家さんのツイートを今回も企画サイト内に取りまとめましたのでご覧下さい。>https://sousaku-doujin-epub.jimdo.com/関連情報/創作同人2017年7月広報画像/

 

 そして、その結果としての販売の推移は、また今回も私と砂虫さんの本を売ってる「まるかふぇ電書」の今回のいっせい配信エントリー書籍のデータしかお見せできるものはありませんが、今回は以下のようなグラフになりました。

https://68.media.tumblr.com/a1b5fa0225532dbda14398adac43f93b/tumblr_inline_ov6hrxrvsE1t2eoao_540.png

 このグラフについて特筆すべきことは7月28日のB☆Wの売り上げの小さな跳ね上がり。この日に何があったのか、改めて調べてみたら「いっせい配信」の第4回開催を予告するチラシを公開した日でした。

 

「いっせい配信」という企画の存在が本の販売に影響を与えていること、B☆Wでその影響が顕著であることの明らかな証拠と言えそうです。

また、今回は従来のKindle、B☆W以外に楽天KoboApple iBooksでも販売が確認されました。7/17〜7/31の間の販売数比率はKindle、B☆W、KoboiBooksで18:17:5:1くらいでした。

https://68.media.tumblr.com/5c4e4bd234279b12a90d2539195d4abe/tumblr_inline_ov9cweIH3E1t2eoao_540.png

特に面白かったのこの中でKoboで配信した砂虫さんの「竜の飼い」シリーズが日本国内のみならず、何故か「ラトビア共和国」でも全巻が1冊ずつ買われていたこと。「ラトビア共和国」という国はどういうところか、何故そこからこの本が需要されたのかはわかりませんが、複数のストアを用いて販売すると思わぬ需要を掘りおこせる点は納得いただけると思います。

 

マグネットの代替システム

概ね順調に開催回数を重ねている「いっせい配信」企画ですが、…ただ、前回の3月の頃にトラブルが生じたマグネットの不調の継続は頭が痛い問題です。

以前より企画は「もっとも簡単に漫画用EPUBを作れるシステム」としてマグネットを紹介し、今年の2月にその使用手順を細かに説明する本まで私は出した次第でしたが、その解説書にも8月のコミケから下記の添付情報を添える形をとることにしました。

https://pbs.twimg.com/media/DG5RIbWUQAE-LdR.jpg

 マグネットが使えないことで一番困るのは、電子書籍を出すことを考えている作家さんにはスマホiphone)以外の機器を持っていない方が結構おられるのに、スマホiphone)だけで「漫画用のepubデータを無料で作れる方策」が他にないことです。

電子書籍を販売する場合は、「読者が実際に見ることになるデータを作家自身が自分の手元で確認し、最適な見え方を試行錯誤でさぐり当て、その上で『いくらで』『どのように』売るのか」を決めるのが順当だと私は思っています。ところが、スマホiphone)しか持っていない作家さんはそれができません。

とは言っても「epubデータを自作」できないと「電子書籍配信を始める道筋」が全く閉ざされるわけではないので、その点はお間違いがないようお願いします。

 例えば一番簡単な方法として「コミティアなどの即売会でB☆Wの『個人出版支援サービス』用封筒を入手する」という手段があります。この封筒にご自身の本や原稿のコピー、またはそれをスキャナーで取り込んだ画像データを入れた電子媒体(cd−rom、usbメモリ等々)を入れて、申込書とともに投函すればデータ作り等の作業をB☆Wにお任せできます。

https://68.media.tumblr.com/10beab9c6549b0149455ebae591e408c/tumblr_inline_ov8c9ySuwD1t2eoao_540.jpg

あるいは、インターネット上の「BWインディーズ 電子書籍制作申込み」のページより申し込むことも可能です。このページはスマホでも操作できるので、パソコンなどお持ちでなくても問題ありません。

docs.google.com

 

他方、もしパソコンを持ちで、ご自身の漫画原稿の画像のpixiv登録などをできる場合は、マグネットの代替手段をいくつかご紹介できます。

 

特におすすめしたいのは急急如律令さまが個人で作成された「FixedEpub3JS」というサイト。こちらは感覚的に使うだけで気軽にepubデータを生成できるシステムになっていますが、更に、使い方を丁寧に記されたマニュアルも用意されています。

 

また、デジタル出版サービスのVoyagerが 公開しているRomancerもかなり使い勝手のよいシステムです。ただ、こちらは私自身がファイルサイズを小さめに設定した画像を入力してのepub生成を確認してみたところ、もとの画像より幾分ぼやけた画面で表示されるデータが作成されました。

特に「なるべく小さい容量でなるべく鮮明な画像の電子書籍を作ろう」と苦心されている作家さんは、こちらお使いの際は注意が必要と思われます。

 

今後の企画継続

そんなこんなで順調に開催数を増やしている「創作同人電子書籍『いっせい配信』企画」ですが、次回の第4回の配信日は9月23日ですでに1ヶ月を切っています。 

 

「いっせい配信日」は創作同人で活動の作家が忙しいコミケや東京コミティアの間際は避けて、覚えやすい日程として「祝日」にさしあたって設定していますが、そのせいで次回と次々回はその前の回と2ヶ月ぐらいしか置いていない日程となっています。

 

  • 2017年9月23日(秋分の日) 第4回いっせい配信「創作同人2017年9月」
  • 2017年11月3日(文化の日) 第5回いっせい配信「創作同人2017年11月」
  • 2018年3月21日(春分の日) 第6回いっせい配信「創作同人2018年3月」

 短い期間に開催回数を増やすと、参加する側は各人の都合にあわせての参加日程を選びやすくなる一方で、参加自体は分散し、回ごとの参加人数は少し減ることが予想されます。ただ、「いっせい配信日」自体の知名度をあげれば、過去の回のエントリー書籍も販売が伸びる模様ですので、参加日程を選びやすい今こそ、積極的にご自身の活動として活用されることをおすすめしたいと思います。 

 参加に関する、悩み等はtwitterにて #創作同人電子書籍ハッシュタグで書き込みいただければ、企画の公式アカウントにてできるかぎりお応えしていきたいと思いますので、よろしければ当方の企画を是非ご活用ください。

 

第3回いっせい配信企画「創作同人2017年7月」

3回目をむかえました

 昨年11月と今年の3月にひきつづいて、創作同人電子書籍の「いっせい配信」企画の第3回目:「創作同人2017年7月」が来週の月曜の7月17日(海の日)に実施されます。7月14日の現時点で企画には21名の作家が合計28作品の配信登録が確認されています。以下のリンクよりその一覧をご覧になれます。

いっせい配信作品 - 「創作同人電子書籍」いっせい配信企画 

 

「まるかふぇ電書」のエントリー

 当方の「まるかふぇ電書」からもなかせよしみ砂虫隼電子書籍あわせて以下の5タイトルをエントリーさせました。

砂虫さんは5月6日のCOMITIA120にて発行の漫画エッセイ「きんぎょすくい」と現在24巻まで書き続けているのファンタジー漫画「竜の飼い方教えます」シリーズの第3〜4巻の電子化です。

一方、私は同じくCOMITIA120にて発行の大正糸場コメディ「でもくらの糸場」のシリーズの第4巻、そして2013年夏コミにて発行のSFファンタジー・コメディ「蜘蛛の糸リゾート」を電子化です。

 

 

 

 

 

 

 

マグネットの不調とB☆Wの企画協力

さて、この創作同人電子書籍の「第3回いっせい配信企画」ですが、私が「もっとも簡単で安心設計のepub生成法」として提唱している「マグネット」 が前の第2回の頃より生じたシステムトラブルが継続、「epubが生成できない」状況に陥っていました。

 

この背景については漠然として情報だけが入ってくるのですが、もしかすると「今後これは復旧されない」という事態もありえるみたいです。 

https://68.media.tumblr.com/278a20a0f319599a0dc78f7a25ce1360/tumblr_inline_ot1p9g3Ugc1t2eoao_540.png 

BOOK☆WALKERは早々にこの状況を察知して教えてくださり、さらにはB☆W登録で「いっせい配信」 に参加する作家あてに「epubデータ作成の代行サービス」の提供についての詳細を伝えてくれました。これを受けて企画サイドより発信した情報がこちらです。

おかげさまで、実際に今回は「epubデータ作成の代行」を用いてエントリーした作家さんも数名おられた模様で、B☆Wの早い対応のおかげで混乱は生じなかったように思われます。

 

手軽にepubを作れるシステム

ただ、それでも「マグネット」が使えない状況はいろいろ頭が痛い問題です。2月に私はマグネットの活用をプッシュして仕様手順を詳細に解説した本を出したばかりだった、という点もありますが…

y-nakase.jugem.jp

マグネットのように誰でも簡単にepubデータを作成して、それで出来たデータを手元の機器などで確認できる気軽システムがないと、なかなか電子書籍の配信に踏み出す作家さんは増えにくいと考えています。

 代替の手段としては電子出版のVoyagerJapanが提供するRomancerというシステムを提案する声がいくつか届きました。

romancer.voyager.co.jp

今回の「第3回いっせい配信」では秋元なおとさん(メタ・パラダイム)がこのRomancerを使ってデータ作成されたとのことです。そこで、私も試しに使ってみたのですが… システムはマグネットほど『感覚的』には使えないものの、かなり便利に作られていました。原稿の全ページを画像データ化した後にzip圧縮かあるいはpdfにまとめることさえできれば、それをepubに変換するのは簡単です。

…ただ、私がテストしてみた際に、epubデータに内包された画像データが入力データに比べて画質が「ぼやけている」ことに気づきました。その「ぼやけ」は「気にならない程度だ」と考える作家さんもいるとは思いますが、絵が読者の目にどう映るかについて心を砕いている漫画家は多いはず。画質のコントロールが効かないシステムでは私は推奨できないと感じました。

https://68.media.tumblr.com/4e2cd23cf43eba891df15449451daa2d/tumblr_inline_ot2nzcaaTq1t2eoao_540.png

 

 そんななかで、昨日、「第3回いっせい配信」に書き下ろしの作品でエントリーしてくださった斉所さんが思わぬ情報を紹介して下さいました。

  その「急急如律令」さんの作成されたシステムはこちらです。

 今年の4月頃からの作成で、まだいろいろ手を加えられている途中のシステムのようですが、こちらではアプロードされた画像データには一切、手を加えず、そのままepubに内包させる形をとっているので、漫画家が作った画像データの画質がそのまま読者にとどけられます。

まだ、検証がいろいろ必要な段階のシステムのようですが、将来性の期待値は大変に高いと私は考えます。

 

今後の展開と期待

 そんなわけで、作家が用いるシステムの整備がまだいろいろと発展途上にある創作同人電子書籍の世界ですが、

そんな中でも今回の第3回いっせい配信「創作同人2017年7年」では、また力作、怪作がいろいろ揃ったようで、私は一読者としても配信日を大変楽しみにしています。なるべく多くの読者の目に触れて、創作同人電子書籍の販売拡大の一助になればと願う次第です。

 

最後に、6月になってからKindleの売り上げ表示システムが変更され、思わぬデータが表示されるようになりましたので、お見せします。

 

「いっせい配信企画」の「知名度」はまだまだだと思いますが、「これを継続すること」が企画の意義の一端でもあり、同時に知名度をあげていく手段でもあることと信じています。

第2回いっせい配信「創作同人2017年3月」レポート

原稿やイベント等のスケジュールでレポートが遅くなってしまい、申し訳ありません。去る3月20日に第2回いっせい配信「創作同人2017年3月」が実施されましたが、その際の経緯と結果についてまとめたいと思います。

 

 

 

企画のエントリー状況

まず、今回エントリーしました作品の紹介です。表はエントリーが確認された著者のお名前順となっています。

  企画エントリー本 著者 発行元 配信先
1 蒼の男シリーズ DOOM BELNE アートファクトリィ BOOK☆WALKER
2 蒼の男シリーズ BLOND BELNE アートファクトリィ BOOK☆WALKER
3 蒼の男シリーズ RAZOR BELNE アートファクトリィ BOOK☆WALKER
4 蒼の男シリーズ ROSE BELNE アートファクトリィ BOOK☆WALKER
5 蒼の男シリーズ LUCK! BELNE アートファクトリィ BOOK☆WALKER
6 蒼の男シリーズ PLEASE BELNE アートファクトリィ BOOK☆WALKER
7 蒼の男シリーズ MAGENTA BELNE アートファクトリィ BOOK☆WALKER
8 蒼の男シリーズ NO ROSE BELNE アートファクトリィ BOOK☆WALKER
9 SingleCut BELNE アートファクトリィ BOOK☆WALKER
10 蒼の男シリーズ 愚者の王冠 BELNE アートファクトリィ BOOK☆WALKER
11 belne マンガ描き40周年記念本 40th BELNE アートファクトリィ BOOK☆WALKER
12 チャンバラ・ヴァルキリー 上 えしま長月 電脳吟遊館 BOOK☆WALKER
DiGiket
DLSite
13 チャンバラ・ヴァルキリー 中 えしま長月 電脳吟遊館 BOOK☆WALKER
DiGiket
DLSite
14 雪待月selection いわみゆうこ 雪待月 BOOK☆WALKER
15 ハーメルンの幻燈師 02 OPENEND JUNCTION 樫居晶 空風館
NCTION
Amazon Kindle
16 ハーメルンの幻燈師 03(完) OPENEND JUNCTION 樫居晶 空風館
JUNCTION
Amazon Kindle
17 氷の惑星にて 八木ナガハル 人類圏 Amazon Kindle
18 とある理系の大学院【1】 小出よしと 小出よしと BOOK☆WALKER
Amazon Kindle
19 赤毛の恐怖の大王アン 新居さとし 新居さとし BOOK☆WALKER
Amazon Kindle
Pixiv BOOTH
20 たちばな学園女子寮物語 新居さとし 新居さとし BOOK☆WALKER
Amazon Kindle
Pixiv BOOTH
21 ナナミインターナショナル41: ミニマムセンチュリー 猫&実録まんが 十野七 ミニマムセンチュリー
ンチュリー 猫&実録まんが
BOOK☆WALKER
Amazon Kindle
22 こたつ smison BOOK☆WALKER
Amazon Kindle
23 猫の恋 smison BOOK☆WALKER
Amazon Kindle
2 閉塞通信2 なかせよしみ まるかふぇ電書 BOOK☆WALKER
Amazon Kindle
Paboo
Apple iBooks
楽天 Kobo
25 創作同人電子書籍のススメ: 電子書籍配信フォア・ビギナーズ2017 なかせよしみ まるかふぇ電書
配信フォア・ビギナーズ2017
BOOK☆WALKER
Amazon Kindle
Paboo
Apple iBooks
楽天 Kobo
26 でもくらちゃん book4 なかせよしみ まるかふぇ電書 BOOK☆WALKER
Amazon Kindle
Paboo
Apple iBooks
楽天 Kobo
27 映画空館 砂虫 隼 まるかふぇ電書 BOOK☆WALKER
Amazon Kindle
Paboo
Apple iBooks
楽天 Kobo
28 竜の飼い方教えます01 砂虫 隼 まるかふぇ電書 BOOK☆WALKER
Amazon Kindle
Paboo
Apple iBooks
楽天 Kobo
29 竜の飼い方教えます02  砂虫隼 まるかふぇ電書 BOOK☆WALKER
Amazon Kindle
Paboo
Apple iBooks
楽天 Kobo
30 四角四面段ボール 八田林檎 ロクハチ屋 BOOK☆WALKER
31 マイムラのみぢかいまんが 舞村そうじ RIMLAND BOOK☆WALKER
32 移動する祝祭 舞村そうじ RIMLAND BOOK☆WALKER
33 RIMLAND 舞村そうじ RIMLAND BOOK☆WALKER
34 RIMpack2011〜2013 舞村そうじ RIMLAND BOOK☆WALKER
35 うひょねこ団9 大空真紀 まるちーず BOOK☆WALKER
36 握手の神様 総集編 小津端 うめ 千秋小梅うめしゃち支店 BOOK☆WALKER
37 インターフェロン 森河洞 森河洞 BOOK☆WALKER
38 よんこままんが あちこさん 2 藤村阿智 メルプのお部屋 BOOK☆WALKER
39 とりくさ他 再録集2012末〜2015初 バードマン バードマン BOOK☆WALKER
40 Finland Travel 樹港、N nekoism BOOK☆WALKER
41 3Dプリンタ持っていないのに 3Dスキャナ「SENSE」をレンタルする暴挙 樹港、N nekoism
ャナ「SENSE」をレンタルする暴挙
BOOK☆WALKER
42 にちボド!- ボードゲームコミック(JPG版) たかみ弌 ein
Pixiv BOOTH
43 にちボド!!- ボードゲームコミック(JPG版) たかみ弌 ein
Pixiv BOOTH

 

 エントリーした作家数は第1回の24人に対して今回は21人、作品数は第1回の40作に対して今回は42作。前回に比べてほぼ横ばいの規模に収まりました。エントリーした書籍に関する詳細は企画サイト内の一覧から見られます。

https://sousaku-doujin-epub.jimdo.com/いっせい配信作品#創作同人2017年3月
 

マグネットの不具合 

「いっせい配信」の企画は昨年夏の「コミティア同日配信」を含めて今回で3回目といなりますが、企画をサポートする側の対応としては、前回の「創作同人2016年11月」の要領に準じる形で、特に新しい要素は加えず臨ませていただきました。

ところが、それでも思わぬトラブルというものは起きるもので、「いっせい配信日」の10日前に、私の方にマグネットの不具合の一報が届きました。

企画では以前より「最も配信初心者に易しく、電子書籍読者が安心できる品質」の電子書籍配信として「マグネットでepubデータを作成→B☆Wに配信登録」という手順を推奨していました、マグネットの不具合はその肝心の「epubデータ」が生成できない、という状況のものでした。

急遽、方々に問い合わせたところ、その不具合の解消は「第2回いっせい配信」に作家さんたちがエントリーする時期に間に合いそうにないことが判明。そこで、企画の公式アカウントからは以下のような呼びかけを発信させていただいた次第でした。

この呼びかけに対して、3名の作家さんより連絡があり、その後は個々とのやりとりで、うち2名は私が代行でepubデータを作成して、残り1名は自力で別のepub作成手段を習得されて、無事にエントリーに漕ぎつかれました。

 

また、この件については以前、マグネットの改善について口を利いていただいたB☆Wに情報共有しましたところ、B☆W側は「第2回いっせい配信」にエントリー予定の作家さんへの配慮を下さり、本来の登録期限より遅い登録でも3月20日配信の段取りをつけて下さいました。そこで、3月13日に企画アカウントより以下のような告知も出させていただきました。

おかげさまで、今回は合計18名の作家さんがB☆Wでの配信にこぎつけることができました。

マグネットは現時点(5月10日)もシステムがまだ「万全な状態」には復旧していないのですが、実は3月15日頃の時点で騙し騙し使えば「epubデータの生成」まではできる状態に復旧していました。

ただ、この不具合でもしかすると数名の作家さんが「第2回いっせい配信」へのエントリーを見送れられていたかもしれませんので、この先の「いっせい配信」でも同様なトラブルを回避すべく、代替手段の提唱なども行う方がいいのかもしれません。

 

BOOK☆WALKERのキャンペーン等

B☆Wには上記の企画参加のための配信登録期限の延長以外に、今回も前回の「2016年11月」に引き続きB☆Wでエントリーした作品一覧を掲載したページをストア内に用意していただき、書籍価格の20%のコインを還元するキャンペーンを開催いただきました。

 

ちなみに、コインバックキャンペーンが適用されて販売された書籍のロイヤリティは通常の場合と同じく「(書籍価格ー消費税)の50%」が払われ、読者が取得するコインはB☆W側の取り分からの出費になっています。だから、毎回のキャンペーンの開催には「いっせい配信企画」に寄せるB☆Wの期待の大きさを感じざるおえません。

 

余談ですが、今回のエントリー一覧ではBELNE先生が「蒼の男シリーズ」を合計8冊を一気に出されていますが、実は先生が2月のCOMITIA119にてB☆Wの企業ブースに紙書籍を提出されていました。

B☆Wは先日の「COMITIA120」と「第二十四回文学フリマ東京」でもブースを出されており「スキャン→EPUB化→配信」のサービスを提供されていました。次の日曜の5月14日の「関西コミティア50」にもブースが出される模様です。

その後のブース出し予定は未定のようですが、さしあたって、自分が参加しているイベントにB☆Wのブースが出ていれば、手持ちの同人誌を一冊持って、書類を埋めれば、もっとも簡単な形で電子書籍配信がはじめられます。

また、イベント当日に差し出す本が手元にない場合も後日に郵送して配信依頼ができる封筒をブースで配布していますので、その封筒だけでも入手されておくといいかもしれません。

 

いっせい配信の結果 

「いっせい配信」の配信日前後は、今回もまた企画参加の作家のみなさんが、エントリーした書籍について、あるいは企画そのものについての情報を発信して、この企画「#創作同人電子書籍」のハッシュタグtwitterをにぎわせて下さいました。

画像つきのツイートを発信された作家さんのツイートを今回も企画サイト内に取りまとめましたのでご覧下さい。>創作同人2017年3月広報画像 - 「創作同人電子書籍」いっせい配信企画

 

 その結果として販売の推移については、各作家自身は各自の状況をご存知だと思いますが、それを私を含めて他者が確認できる方法はないので、あくまで参考のために、私自身が自分と砂虫さんの本を売ってる「まるかふぇ電書」の今回のエントリー本のグラフをお見せしたいと思います。

 

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販売のほとんどはAmazon KindleBOOK☆WALKERに集中しました。Kindleは初日のみに売り上げが大きく伸び、4月に入ってからも低いピッチながら販売が続く形になりました。他方、B☆Wは初めの数日間は好調である一方でキャンペーンが終わった29日以降は売れ行きがぱったりと 止まりながらも、Kindleとほぼ互角の販売成績を見せました。

徐々にではありますが、個人出版電子書籍配信事業では先行していたKindleにB☆Wもキャンペーンなどの打ち出しで並んできた状況が伺えます。

 

また、販売に関して今回の私が特に注目したのはKindleでの登録でエントリーされていた八木ナガハルさんのこちらのツイートでした。

早くよりKindleでの自主配信活動に参加していて、すでにそちらのSFコミックのジャンルでは一目おかれる存在だった八木さんでしたが、商業出版までも含めたランキングで3位は、ちょっと目を見張る成果だったと思われます。

先日、八木さんはひきつづき、5月コミティアの新刊本の電子書籍配信を第3回いっせい配信の「創作同人2017年7月」にエントリーされることを表明されました。

 

今後の進行

 結果としては昨年11月の第1回とほぼ同じ状況だった第2回ですが、 徐々に知名度は上がることでその効果も広がっていくものと思われます。そんなわけで、今後も年4回ペースを目処に「いっせい配信」を続けていきたいと考えます。

「いっせい配信日」はなるべく、創作同人で活動の作家が忙しいコミケや東京コミティアの間際は避けて、覚えやすい日程として「祝日」に設定する形で考えています。

第3回以降の日程は以下の通りです。

  • 2017年7月17日(海の日) 第3回いっせい配信「創作同人2017年7月」
  • 2017年9月23日(秋分の日) 第4回いっせい配信「創作同人2017年9月」
  • 2017年11月3日(文化の日) 第5回いっせい配信「創作同人2017年11月」

 ちなみに、第5回は以前は11月23日の「勤労感謝の日」を検討していましたが、COMITIA122の日程がこれに被ってきましたので、昨年と同じ「文化の日」に設定しなおしました。

 

そんなわけで、今後ともこちらの企画をどうぞよろしくお願いします。

第2回いっせい配信企画「創作同人2017年3月」

昨年11月に実施された第1回にひきつづいて、創作同人電子書籍のいっせい配信企画の第2回目:「創作同人2017年3月」が来週の月曜の3月20日(春分の日)に実施されます。

 

3月15日の現時点で企画には17名の作家が合計31作品の配信登録を完了。以下のリンクよりその一覧をご覧になれます。

企画サイト

いっせい配信作品 - 「創作同人電子書籍」いっせい配信企画

 

Togetter

 

 私と嫁さん(なかせよしみ砂虫隼)も今回はあわせて以下の6タイトルの書籍をエントリーさせ、あとは配信日を待つばかりです。

今回、砂虫さんは長年書き続けているファンタジー漫画「竜の飼い方教えます」のシリーズ(現在24巻)の電子化を開始しました。この先、しばらく「いっせい配信」にあわせて2冊ずつ刊行していく予定です。

一方、私は「でもくらちゃん」のシリーズ最終巻のBook4を今回出しました。この本の大半は2009年に出しました商業単行本版には収録されていないエピソードですので、単行本をお持ちの方も、ぜひこのBook4はご入手下さい。

 

 

 

  

 

「ーほう。こやつ犬ではないぞ」 

満月村出身の侏儒族「魚民鳥猫(うおたみとりねこ)」。彼女

が雨の日に道端で出会ったのは飛竜(ワイバーン)の幼獣であった。

「空」と名付けた竜の子は「芸」に励む鳥猫の日常に彩りを加える。

 

異形の人々や魔法が入り混じった日常空間で展開する長編ファンタジーの第1話。

1997年から現在も「乱痴気事虫所」より自主出版で執筆中の漫画シリーズを電子化。

「創作同人2017年3月」参加作品。

 

 

さて、この創作同人電子書籍の「いっせい配信」企画…

昨年の後半に私が、漫画同人誌即売で活動の創作同人の作家、ならびにそれに近い活動形態の作家が「電子書籍」を販売することを推奨、応援する目的で立てたもので、電子書籍ストアに登録できるオリジナル作品をお持ちの作家さんは誰でも参加可能すが、

…実は今回の日程では思わぬトラブルが発生しました。漫画の原稿をストアで販売するepubファイルに加工するにはちょっとノウハウが必要ですが、その作業に使うことを企画側で推奨していたマグネットのシステムが使えない状況が3月上旬に発生していました。

3月20日に確実に書籍を配信するためにはKADOKAWABOOK☆WALKERでは3月13日までに登録を済ませないといけないのですが、どうやらマグネットのこの状況でそれに間に合わない作家が出る。その状況をB☆Wに相談しましたところ、処置を講じていただけたので、以下のような告知を出しました。

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 そんなわけで、B☆Wでの配信登録は17日の正午まで可能です。(Kindleでの配信登録は18日いっぱいまで可能です。) 現時点で電子化を考えているオリジナル作品をお持ちの方は、まだまだ間に合いますので、ぜひご参加下さい。

 

 

2016年を振り返る

2017年の正月があけて4日目となりましたが、新年あけましておめでとうございます。

昨年は後半より私は「創作同人誌」の電子書籍を「いっせい配信」する企画を立ち上げ、そのサイトを拠点に電子書籍化のノウハウや、出版物のレビューなどを発信する活動を開始しました。

本年はその活動に更に拍車をかけ、創作同人のフィールドでマンガ、イラスト、ライトノベル等々の発行物を出版されている作家の皆様に電子書籍の販売」をより身近で乗り出しやすい頒布手段として受け入れやす土壌に仕立てて行きたい所存です。

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2016年は実は私のとって「電子書籍」についての認識を大きく変える年になりました。

2015年の末頃、私は「まるかふぇ電書」のレベールで5つのストア(KindleKoboiBooksBOOK☆WALKER、Puboo)で自分(なかせよしみ)と妻(砂虫隼)の同人誌バックナンバーを30タイトル近く電子書籍で発行して販売していました。その売り上げ数は「紙の本を再版して販売するかどうか迷う」程度の数字で、「イベントで買い逃した人が買っているのだろう」という推測が成り立つ程度でした。

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なんとかストア販売の電子書籍もイベントで紙本も販売数を伸ばせないものかとと画策していましたが、それにはまず、より「魅力的な企画」を打ち出し、より「魅力的な作品」を仕上げるしか方策がないものと考え、企画力作品力の向上に全精神を傾ける姿勢を維持していました。この2つが大切であるという認識は今でも変わらず、それを磨き上げるために日々精進はつづけています。しかし、それだけでは足りないことに気づいたのはこれらの2作品を公開した時でした。

電子書籍まとめサイトきんどう」による2016年1月8日に「餅マンガ」を同時発行する企画への参加という形で公開したこの2作品は、いきなり私が発行した電子書籍のなかでの一ヶ月の販売数の一位の記録を打ち立てました。それまで発行した本と企画内容や作品自体の魅力ではさほどの大きな違いがないように思われたこの作品。販売数を引き延ばした大きな要因は間違いなく電子書籍界で注目度が高い「きんどう」の広報の力だと気づかされました。また同時に「イベントで買い逃した」読者だけではなく、イベントに来場する読者層とは別の電子書籍で創作同人的な作品を好む読者層が潜在することも判明しました。

残念ながらこの広報力の高かった「きんどう」の企画は2回目の「ラーメンマンガ」企画に作品が集まらず、この第1回で終了しました。しかし、その傍らで私自身が方々に働きかけることで独自の広報力を生み出せる「企画」の模索した結果、2016年の「まるかふぇ電書」売り上げは以下のような経過を辿りました。

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 グラフでお気づきだと思いますが、販売が2015年時点に比べて3倍くらいになりました。また、BOOK☆WALKERの販売がKindleに並びました。広報に力を入れた企画の影響は如実に表れています。それでも、私の打ち出した企画の影響力はまだまだ「餅マンガ企画」には到底及んでいません。つまり、まだまだ「伸びしろはある」ということです。広報の力でいかにこれを伸ばしていくかが今後の課題です。

広報でものを言うのは「情報量」です。企画により多くの方々が参加していただき、各人がご自身の著書について、企画について、創作同人の電子書籍化について、また他の方の作品について情報を発信していただければ情報量は格段にあがり、大きな広報力を生み出し、その結果が各々の参加作家さんの販売に還元されます。

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今年はさらに「創作同人電子書籍」についての情報をお寄せいただきやすく、また円滑に活用できる方策をさまざま打ち出していきたいと考えています。ぜひ皆様にはこの活動にご注視いただき、ご意見やご感想などいただければと願います。

今後ともどうぞ、よろしくお願いします。 

 

 

 

「企画3本柱の立ち上げ」と「ちょっと補足」

企画サイトの改変

11月3日に実施されました創作同人電子書籍第1回「いっせい配信」企画(創作同人2016年11月)より、はや3週間がたちました。配信された書籍は販売数がまだ持続している様子です。その間に「次の展開」をというわけではないですが、実はここ数日で企画サイトの方に大きな改変を加えましたのでご紹介します。

具体的な改変内容は以下3つのページの新設です。

 『作品レビュー』のページ

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 『電子化リクエスト』のページ

https://pbs.twimg.com/media/Cx-yAWPUkAEyAqw.jpg 

『連絡先』のページ

https://pbs.twimg.com/media/Cx0BmWbVIAUDTuZ.jpg

 

企画側ではこれらのページを拠点に「創作同人電子書籍」のレビュー情報の集積企画と、読者が希望する作品の電子書籍化の推奨企画の拠点を立ち上げ、いっせい配信企画の実施と合わせて3本の柱にしたいと考えています。

これらの新しい企画にもぜひ、ご注視ご参加いただきたく思います。どうぞ、よろしくお願いします。

 

 「いっせい配信」企画についてちょっと補足

最後に上記の話とはあまり関連がありませんが、「いっせい配信」企画の意図について、最近ツイッターの方でちょっとまとまった話を書かせていただきました。企画に参加されるのに必要な話というわけではありませんが、興味がある方は一読願えればと思い、以下に貼らせていただきます。