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なかせっとHatena

漫画家「なかせよしみ」がちょっとまとまった文章を公開するためのブログ

第2回いっせい配信企画「創作同人2017年3月」

昨年11月に実施された第1回にひきつづいて、創作同人電子書籍のいっせい配信企画の第2回目:「創作同人2017年3月」が来週の月曜の3月20日(春分の日)に実施されます。

 

3月15日の現時点で企画には17名の作家が合計31作品の配信登録を完了。以下のリンクよりその一覧をご覧になれます。

企画サイト

いっせい配信作品 - 「創作同人電子書籍」いっせい配信企画

 

Togetter

 

 私と嫁さん(なかせよしみ砂虫隼)も今回はあわせて以下の6タイトルの書籍をエントリーさせ、あとは配信日を待つばかりです。

今回、砂虫さんは長年書き続けているファンタジー漫画「竜の飼い方教えます」のシリーズ(現在24巻)の電子化を開始しました。この先、しばらく「いっせい配信」にあわせて2冊ずつ刊行していく予定です。

一方、私は「でもくらちゃん」のシリーズ最終巻のBook4を今回出しました。この本の大半は2009年に出しました商業単行本版には収録されていないエピソードですので、単行本をお持ちの方も、ぜひこのBook4はご入手下さい。

 

 

 

  

 

「ーほう。こやつ犬ではないぞ」 

満月村出身の侏儒族「魚民鳥猫(うおたみとりねこ)」。彼女

が雨の日に道端で出会ったのは飛竜(ワイバーン)の幼獣であった。

「空」と名付けた竜の子は「芸」に励む鳥猫の日常に彩りを加える。

 

異形の人々や魔法が入り混じった日常空間で展開する長編ファンタジーの第1話。

1997年から現在も「乱痴気事虫所」より自主出版で執筆中の漫画シリーズを電子化。

「創作同人2017年3月」参加作品。

 

 

さて、この創作同人電子書籍の「いっせい配信」企画…

昨年の後半に私が、漫画同人誌即売で活動の創作同人の作家、ならびにそれに近い活動形態の作家が「電子書籍」を販売することを推奨、応援する目的で立てたもので、電子書籍ストアに登録できるオリジナル作品をお持ちの作家さんは誰でも参加可能すが、

…実は今回の日程では思わぬトラブルが発生しました。漫画の原稿をストアで販売するepubファイルに加工するにはちょっとノウハウが必要ですが、その作業に使うことを企画側で推奨していたマグネットのシステムが使えない状況が3月上旬に発生していました。

3月20日に確実に書籍を配信するためにはKADOKAWABOOK☆WALKERでは3月13日までに登録を済ませないといけないのですが、どうやらマグネットのこの状況でそれに間に合わない作家が出る。その状況をB☆Wに相談しましたところ、処置を講じていただけたので、以下のような告知を出しました。

https://pbs.twimg.com/media/C6ySEIhV4AAP1ZJ.jpg

 そんなわけで、B☆Wでの配信登録は17日の正午まで可能です。(Kindleでの配信登録は18日いっぱいまで可能です。) 現時点で電子化を考えているオリジナル作品をお持ちの方は、まだまだ間に合いますので、ぜひご参加下さい。

 

 

2016年を振り返る

2017年の正月があけて4日目となりましたが、新年あけましておめでとうございます。

昨年は後半より私は「創作同人誌」の電子書籍を「いっせい配信」する企画を立ち上げ、そのサイトを拠点に電子書籍化のノウハウや、出版物のレビューなどを発信する活動を開始しました。

本年はその活動に更に拍車をかけ、創作同人のフィールドでマンガ、イラスト、ライトノベル等々の発行物を出版されている作家の皆様に電子書籍の販売」をより身近で乗り出しやすい頒布手段として受け入れやす土壌に仕立てて行きたい所存です。

f:id:y_nakase:20170104030017j:plain

 

2016年は実は私のとって「電子書籍」についての認識を大きく変える年になりました。

2015年の末頃、私は「まるかふぇ電書」のレベールで5つのストア(KindleKoboiBooksBOOK☆WALKER、Puboo)で自分(なかせよしみ)と妻(砂虫隼)の同人誌バックナンバーを30タイトル近く電子書籍で発行して販売していました。その売り上げ数は「紙の本を再版して販売するかどうか迷う」程度の数字で、「イベントで買い逃した人が買っているのだろう」という推測が成り立つ程度でした。

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なんとかストア販売の電子書籍もイベントで紙本も販売数を伸ばせないものかとと画策していましたが、それにはまず、より「魅力的な企画」を打ち出し、より「魅力的な作品」を仕上げるしか方策がないものと考え、企画力作品力の向上に全精神を傾ける姿勢を維持していました。この2つが大切であるという認識は今でも変わらず、それを磨き上げるために日々精進はつづけています。しかし、それだけでは足りないことに気づいたのはこれらの2作品を公開した時でした。

餅がたり

もちもちのもち

電子書籍まとめサイトきんどう」による2016年1月8日に「餅マンガ」を同時発行する企画への参加という形で公開したこの2作品は、いきなり私が発行した電子書籍のなかでの一ヶ月の販売数の一位の記録を打ち立てました。それまで発行した本と企画内容や作品自体の魅力ではさほどの大きな違いがないように思われたこの作品。販売数を引き延ばした大きな要因は間違いなく電子書籍界で注目度が高い「きんどう」の広報の力だと気づかされました。また同時に「イベントで買い逃した」読者だけではなく、イベントに来場する読者層とは別の電子書籍で創作同人的な作品を好む読者層が潜在することも判明しました。

残念ながらこの広報力の高かった「きんどう」の企画は2回目の「ラーメンマンガ」企画に作品が集まらず、この第1回で終了しました。しかし、その傍らで私自身が方々に働きかけることで独自の広報力を生み出せる「企画」の模索した結果、2016年の「まるかふぇ電書」売り上げは以下のような経過を辿りました。

 f:id:y_nakase:20170104042507j:plain

 グラフでお気づきだと思いますが、販売が2015年時点に比べて3倍くらいになりました。また、BOOK☆WALKERの販売がKindleに並びました。広報に力を入れた企画の影響は如実に表れています。それでも、私の打ち出した企画の影響力はまだまだ「餅マンガ企画」には到底及んでいません。つまり、まだまだ「伸びしろはある」ということです。広報の力でいかにこれを伸ばしていくかが今後の課題です。

広報でものを言うのは「情報量」です。企画により多くの方々が参加していただき、各人がご自身の著書について、企画について、創作同人の電子書籍化について、また他の方の作品について情報を発信していただければ情報量は格段にあがり、大きな広報力を生み出し、その結果が各々の参加作家さんの販売に還元されます。

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今年はさらに「創作同人電子書籍」についての情報をお寄せいただきやすく、また円滑に活用できる方策をさまざま打ち出していきたいと考えています。ぜひ皆様にはこの活動にご注視いただき、ご意見やご感想などいただければと願います。

今後ともどうぞ、よろしくお願いします。 

 

 

 

「企画3本柱の立ち上げ」と「ちょっと補足」

企画サイトの改変

11月3日に実施されました創作同人電子書籍第1回「いっせい配信」企画(創作同人2016年11月)より、はや3週間がたちました。配信された書籍は販売数がまだ持続している様子です。その間に「次の展開」をというわけではないですが、実はここ数日で企画サイトの方に大きな改変を加えましたのでご紹介します。

具体的な改変内容は以下3つのページの新設です。

 『作品レビュー』のページ

https://pbs.twimg.com/media/Cx92cfKUkAAoG1r.jpg 

 『電子化リクエスト』のページ

https://pbs.twimg.com/media/Cx-yAWPUkAEyAqw.jpg 

『連絡先』のページ

https://pbs.twimg.com/media/Cx0BmWbVIAUDTuZ.jpg

 

企画側ではこれらのページを拠点に「創作同人電子書籍」のレビュー情報の集積企画と、読者が希望する作品の電子書籍化の推奨企画の拠点を立ち上げ、いっせい配信企画の実施と合わせて3本の柱にしたいと考えています。

これらの新しい企画にもぜひ、ご注視ご参加いただきたく思います。どうぞ、よろしくお願いします。

 

 「いっせい配信」企画についてちょっと補足

最後に上記の話とはあまり関連がありませんが、「いっせい配信」企画の意図について、最近ツイッターの方でちょっとまとまった話を書かせていただきました。企画に参加されるのに必要な話というわけではありませんが、興味がある方は一読願えればと思い、以下に貼らせていただきます。

 

 

第1回「いっせい配信」企画結果と今後の展望

11月3日に創作同人電子書籍第1回「いっせい配信」企画(創作同人2016年11月)が実施されて12日経ちましたので、そろそろ企画についての結果をご報告したいと思います。

 

https://pbs.twimg.com/media/CwUbPbaUUAAOque.jpg

 

概要 - 「創作同人電子書籍」いっせい配信企画

この企画は漫画同人即売会などに参加して、漫画、ライトノベル、イラスト等のオリジナル作品の冊子を発行する活動をされている日本全国で総勢4桁の人口にも上る作家さん(創作同人作家)が「電子書籍」も活動の範囲に取り入れられることを推奨する目的で実施しました。具体的には、電子書籍をいっせいに配信する日程を定めることで以下の効果を期待するものでした。

  1. 創作同人誌の電子書籍配信活動をはじめるのに良い機会を作ること。
  2. 配信には必須な作家自身による広報活動を集約して発信力を高めること。

この企画に先立ち、今年の8月21日には東京で開催の創作漫画即売会「COMITIA117」にあわせて「紙&電子同時発行」企画を実施しました。今回の企画はその8月企画に対する反省点等を踏まえて新たに立ち上げたものでしたが、主だった改変は以下の通りです。

  • 紙冊子の発行時期を問わず「はじめて配信される電子書籍」を対象とした。
  • いっせい配信日は一回きりにせず、間隔をおいて連続的に設定することにした。
  • 配信日を1日間に限定せず、前後1〜2日の誤差を許容可能とした。

以上より、作家は各人の都合のいい時期に、自由度の高い日程で電子書籍化にのり出せる企画になりました。

 

企画のエントリー状況

エントリーした書籍の一覧は企画サイトで見られます。>http://sousaku-doujin-epub.jimdo.com/企画参加書籍/

 

概要をまとめるとつぎの通りです。

 

 

企画エントリー本(登録確認順)

 

著者

発行元

配信先

1

RED&BLUE5

木村聡 

WEB MANGA ZUIZAN

BOOK☆WALKER

Kindle

2

草原を行く風

いわみゆうこ

雪待月

BOOK☆WALKER

3

創作同人電子書籍のススメ

なかせよしみ

まるかふぇ電書

BOOK☆WALKER
Kindle
Paboo
Kobo
iBooks

4

そぞろ寒

smison

Kindle
BOOK☆WALKER 

5

MP-ML1

川太郎

MP-ML

BOOTH
BOOK☆WALKER

6

時空救助隊うさぎレスキュー完全版

十野七

ミニマムセンチュリー

Kindle

7

applesongs

しょうじ

ひでまさ

appleorchard

BOOK☆WALKER

8

かっぱとせ

斉所

斉所

Kindle
BOOK☆WALKER 

9

みひらき。

ハチマキ
くろだ

ハチマキ球団

Kindle

10

もぐもぐ米

砂虫 隼

まるかふぇ電書

BOOK☆WALKER
Kindle
Paboo
Kobo
iBooks

11

食べ物漫画の舞台裏

砂虫 隼

まるかふぇ電書

BOOK☆WALKER
Kindle
Paboo
Kobo
iBooks

12

うひょねこ団10

大空真紀

まるちーず

BOOK☆WALKER

13

Woldirous Sin 9

報沢

M2BRAND

Kindle

14

Woldirous Sin 10 前編

報沢

M2BRAND

Kindle

15

Woldirous Sin 10 後編

報沢

M2BRAND

Kindle

16

大江戸七十七夜

クロ僕屋

クロ僕屋電書

Kindle
BOOK☆WALKER 

17

十月の不死者の回想 前編 Woldirous Sin

報沢

M2BRAND

Kindle

18

十月の不死者の回想 後編 Woldirous Sin

報沢

M2BRAND

Kindle

19

ロンドンの佳き日 採録 5

BELNE

アート
ファクトリィ

BOOK☆WALKER

20

ロンドンの佳き日 採録 6

BELNE

アート
ファクトリィ

BOOK☆WALKER

21

ロンドンの佳き日 採録 7

BELNE

アート
ファクトリィ

BOOK☆WALKER

22

春陽

BELNE

アート
ファクトリィ

BOOK☆WALKER

23

レゾンデートルへようこそ

保スカ

e-comebook

BOOK☆WALKER
Kindle

24

でっかいちゃん

Giantess DEKKAI-CHAN 1

新居さとし

新居さとし

Kindle
BOOK☆WALKER
BOOTH

25

でっかいちゃん

Giantess DEKKAI-CHAN 2

新居さとし

新居さとし

Kindle
BOOK☆WALKER
BOOTH

26

夜のでっかいちゃん

Giantess DEKKAI-CHAN of the night

新居さとし

新居さとし

Kindle
BOOK☆WALKER
BOOTH

27

姉とでっかいちゃん

Giantess DEKKAI-CHAN and sister

新居さとし

新居さとし

Kindle
BOOK☆WALKER
BOOTH

28

クリーム e.p.

舞村そうじ

RIMLAND

BOOK☆WALKER

29

サンタクロース・イズ・カミング・スルー・ザ・バスルーム・ウィンドウ e.p.

舞村そうじ

RIMLAND

BOOK☆WALKER

30

Finland Switch+

樹港

nekoism

BOOK☆WALKER

31

Finland TravelII

樹港

nekoism

BOOK☆WALKER

32

星子島区レポート

秋元なおと

メタ・パラダイム

BOOK☆WALKER
Kindle

33

みかげ

大空真紀

まるちーず

BOOK☆WALKER

34

ハーメルンの幻燈師 01 OPENEND JUNCTION

樫居晶

空風館

Kindle

35

ボドゲカイ:あやつり人形 - ボードゲームコミック

たかみ弌

ein

BOOTH

36

突発性ヘマトフィリアの憂鬱

樫居晶

空風館

Kindle

37

スターチス

保スカ

e-comebook

BOOK☆WALKER

38

でもくらちゃん book3

なかせよしみ

まるかふぇ電書

BOOK☆WALKER
Kindle
Paboo
Kobo
iBooks

39

夜のとばりに向かって 体験版

著者:野浦湘

イラスト:

 南風麗魔

野浦書院

BOOK☆WALKER
Kindle

40

きぃのお迎えとジューシーズ

ちえぞー

バードマン

Paboo
BOOK☆WALKER
Kobo

 

 エントリーした作家数は8月の企画で29人だったのに対して今回は24人で、幾分の減少ですが、作品数は8月が34作に対して、今回は40作で増加。ただ、8月はエントリーとしてカウントしない新刊以外の同日配信を含めると49作ありましたので、その数量と比べると今回はエントリー作品数も減です。ジャンル的にも、8月は文芸成年向けの作品も数点エントリーがありましたが、今回はそれらはなし。つまりは全体的に8月よりエントリー数と内容の幅が幾分縮まった形となりました。

 ただ、今回の企画は一回きりのものではなく、この先長く続けるもの初回です。そう考えれば、これはこれで「そこそこよい立ち上がり」と言えると思います。

 

 企画の販売状況

企画の販売実績については、私自身が販売しているものの売れ行きで企画の全体状況を類推するしかないですが、…今回の販売結果を一番物語るのは多分、私が運営している「まるかふぇ電書」から出している私(なかせよしみ)と妻(砂虫隼)の作品のAmazon Kindleでの販売総数の推移だと思います。8月と今回の企画で重ねて表示したのが以下のグラフです。

f:id:y_nakase:20161115071628j:plain

 配信日直後は8月と今回は同程度のピークを示していますが、その後は今回の企画の方が数割増しで推移しています。「読者へ配信の情報を訴えかける」という企画の意図から考えた場合、8月の企画より今回の企画の方が有効性が高かったと判断できます。

  8月の企画では5月から7月にかけて、企画広報のチラシを数千部を全国のコミティアで配布しました。また8月は数千人が参加する漫画イベントである「COMITIA117」に絡めた実施でした。今回の企画にはそのような物理的な広報はほとんどありませんでした。せいぜい10月23日の「COMITIA118」で私がサークルの新刊として頒布した冊子「創作同人電子書籍のススメ」だけです。

むしろ、今回の企画で広報の中心となって読者へのアピール力を高めたのはツイッターを中心とするネット上の広報活動だったと思われます。

 

 ネット上の広報活動

今回の企画では企画サイト側も、企画参加作家さんも、またBOOK☆WALKERもネット上での「企画広報」に力を入れてられました。

 まず、企画サイトは8月の企画ではエントリー作品一覧を配信日の数日後に作成しましたが、今回は配信日に先立って作成し、エントリーが確認され次第、作品情報を逐一追加していきました。

 また、企画のツイッターアカウントでは企画に関する「#創作同人電子書籍」のハッシュタグ付きツイートを満遍なく拾い、再配信しました。このハッシュタグのツイートは企画参加の作家のみなさんも多く再配信して下さいました。

 

BOOK☆WALKERは8月の企画にひきつづき今回の企画のため特設ページを用意して下さった上に、今回はインディーズ専用ツイッターアカウントでかなりの頻度でそのリンクのツイート発信を今もつづけてられます。

 

また、今回の企画広報を一番頑張られたのはなんと言っても企画参加作家さんでした。企画参加の書籍について、あるいは企画そのものについて画像つきのツイートを発信されたものが多くの読者に印象付ける結果となったと思われます。また、幾人かの参加作家さんはこれらの発信を見て企画参加を決意された様子でした。

 企画に関して作家さんが出された画像つきツイートも企画サイトの方でまとめました。>創作同人2016年11月広報画像 - 「創作同人電子書籍」いっせい配信企画

今後の展開

以前より、電子書籍SNSやインターネットとの親和性の強い媒体であることは感じていましたが、今回の企画ではそれがより実証されたと感じます。

 実は企画の継続を考える上での「いっせい配信日」の設定については、コミケコミティアといった大きな同人イベントの日程と絡めていくべきか、あるいは日程を引き離すべきか迷いがありました。しかし、今回の経験でこれは引き離す方が正解だと感じます。

8月の企画はイベント準備に私を含め、多くの作家さんは手を取られ、電子書籍ストアで展開する企画の広報にはあまり手が回りませんでした。また、今回のようなエントリー書籍の情報の総まとめもオフラインのイベント参加の準備かたわらでは困難でした。

 今回はさらに「いっせい配信日」を「文化の日」という祝日に設定しましたが、これもいくつかのいい結果をもたらしました。実は、翌日が休日とのことで、前日に思い立って急遽、作品の電子化作業をすすめてエントリーが期間内に間に合った作家さんがおられました。

 また、作品受け入れ側としても、BOOK☆WALKERは祝日と土日は書籍の配信手続きは行われないのですが、祝日の前日はそれが稼働しているので、「前日の登録で配信日にちょうど間に合った」という作品も数点ありました。

 そんなわけで、今後もこの企画での「いっせい配信日」はなるべく「祝日」で設定しようと考えています。次回は当初の計画通り、来年の3月20日の「春分の日」の「創作同人2017年3月」となります。

 

この企画のエントリー基準については、今後もひきつづき「はじめて電子書籍化する創作同人誌」の一言のみとする形は継続したいと思います。今後もその内容は「新刊」「既刊バックナンバー総集編」「これから紙冊子化して同人イベントに販売予定の本」といった区分は問いません

 一方で、「企画にエントリーする作品のテーマを統一してはどうか?」という意見も多数寄せられました。「いっせい配信」企画自体はなるべく手軽に参加できて、なるべく多くの作家さんが活用できる機会として維持し続けたいと思いますので、テーマの縛りを設けません。しかし、そのような取り組みを否定するものではないので、企画の内外でテーマ統一での電子書籍発信を計画される方々も応援したいと思っています。

 実はちょうど今、BOOK☆WALKERが企画している12月の「グルメ同人誌フェア」というものがあります。企画のツイートアカウントではこれにまつわる情報も回していきたいと考えています。

 

 また、第2回以降のこちら「いっせい配信」企画内で数名の作家さんがテーマを統一したエントリーなどをなされる場合は、企画サイトでもなるべくそういう動きを紹介していきたいと考えています。面白い企画がありましたらどんどん発信いただければと思います。

 どうぞ、今後ともよろしくお願いします。

 

参考情報

ところで、今回の企画に際してちょっと面白いデータが確認できたので、紹介させていただきます。

 先にも書きました通り、今回の企画に先立って、8月の企画と今回の企画を紹介した冊子を私はCOMITIA118で発売した後に「第1回いっせい配信」にもエントリーさせました。その販売数の比率を私が配信している5つのストアについて割り出してみますと、以下の結果になりました。 

f:id:y_nakase:20161115071727j:plain

 この結果について二つほど特記したい点があります。

 ひとつはKindleBOOK☆WALKERの販売数ですが、双方ともそこそこは「ある」点です。さすが「電子書籍界の王者Kindle」の方が多いのは多分、以前よりAmazonでの買い物経験があり読者がそちらを選びやすい傾向にあることの現れだと思われますが、それでもB☆Wも無視できない読者数を獲得しています。

今回の企画にエントリーされた作家さんの中にはKindleかB☆Wのどちらか一方のみで配信されている作家さんが結構います。作品内容によって個々のストアでの獲得読者数の比率は違ってくるとは思いますが、この2ストアについてはまだ配信されていない方にも今後は出されることをお勧めします。

 もう一点はお気づきいただきたいのは、ほとんど読者を獲得していないiBooks、Puboo、Koboの中で、Pubooのみが読者を2名獲得している点です。実はこれはPubooがネット上で一番ストレスが少なくサンプルページを読めることに起因していると思われます。実際に開いてみれば納得すると思いますのでお試し下さい。>パブーのサンプルページ 

 

また、ネット上でサンプルを読ませるのにストレスが少ないストアにはもう一つ「マグネット」があります。こちらも読み心地をご確認下さい。

創作同人電子書籍のススメ

 

マグネット - 無料の漫画配信なら

上方で書きました通り「電子書籍」というものはSNSやネットでの活動と親和性が強い媒体です。ネットにおけるこのようにストレスの少ない購読手段は電子書籍の販売促進にとって大きな武器になります。是非とも活用されることをおすすめします。
どうぞ、ご参考にしてください。

創作同人電子書籍 「第一回いっせい配信日」

11月3日にご注目

明日、11月3日は「文化の日」ですが、同時に「まんがの日」でもあることも最近周知されてきました。実は今年のその日を目指して、多くの作家さんが電子書籍ストアで準備を重ねておりました。

 

どういういうことかを具体的に書くと、現在、いくつかの電子書籍ストア(BOOK☆WALKERAmazon KindlePixiv Booth2Dfacto Puboo)で「創作同人2016年11月」と検索すると、いままで町の本屋さんでは見かけることがなかった本がヒットします。これらは『創作同人』の作家さんたちが自らの作品を11月3日前後にあわせて「いっせい配信」を行ったものです。

 

創作同人とは

『創作同人』という言葉に馴染みのない方のために、簡単に解説させていただきます。

 

2012年頃に海外より日本に上陸した電子書籍ストアにより、出版社を経ない個人による出版活動がインターネット上ではにぎやかになりました。しかし、実はそれ以前より日本では紙媒体を用いての漫画やライトノベル、そしてイラスト集の個人出版活動が盛んでした。いわゆる「同人誌活動」ですが、その最大にして代表的な活動拠点が「コミケ」です。

 

コミケ」は年2回、東京の有明にある会場で催される、世界最大の漫画イベントですが、その中核は個人が発行する紙の冊子(同人誌)を作家が自ら販売する活動です。同人誌の内容はもっぱら、テレビや雑誌などで見られる漫画のキャラクターや設定をベースにしたパロディ作品ですが、その一方で全くのオリジナル作品を発行して販売する作家さんも多数います。彼らの発行する同人誌が「創作同人」です。

 

「創作同人」のみを取り扱う漫画イベントも多くあり、年4回東京で開催されているイベント「コミティア」では毎回3000〜5000人の作家が集まり、頻繁に新作を発表しています。これらの本はこのようなイベントに足を運ばないと入手が難しい。しかし、街中の書店でよく目にする商業出版の作品とはちがい、「出版流通」に乗り易い形態に擦り合せる必要ないので、作家のナマの発想や、思いをよりストレート伝えるものが多いのが特徴です。

 

エントリー作品一覧

出版社から出た作品とは一味も二味も違う、そのような作品がこのたび、それぞれの作家さんの手により数多く電子化され、電子書籍ストアでリリースされ、どなたでも手に入りやすい形になりました。今回の「いっせい配信」にエントリーした作品の一覧がこちらのサイト上で確認できますので、ぜひ一度ご覧下さい。

 

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企画参加書籍 - 「創作同人電子書籍」いっせい配信企画

 

かく言う私(なかせよしみ)も私および妻(砂虫隼)の作品を以下4点、この「いっせい配信」にあわせて電子化させていただきました。

 

 企画の意図

今回の創作同人電子書籍 「いっせい配信」企画は、私(なかせよしみ)が発案提唱したものです。

 

目的はいままで電子書籍の個人配信に乗り出すことに二の足を踏んでいた創作同人の作家さんを後押しすることでした。電子化に関するノウハウを伝えたり、また、その活動の中で必要とする「広報活動」をより効率的なものとし、より読者に伝わり易い形にするように考案しました。特に「配信日」を揃えて大勢の作家で同時に情報発信することにより、エントリーした全書籍が多くの読者の注目を得られるようにしました。

 

実はこの企画に先立ち、今年の8月21日の東京ビッグサイトで創作同人の即売会「COMITIA」の第117回で、その日に発行される新刊を紙媒体と電子媒体の双方同時に配信する「COMITIA117紙&電子同時発行」企画を実施しました。

 

kami-densi-douji.jimdo.com

 

ただ、この企画では参加の作家さんは「イベント参加準備」と慣れない「電子書籍の配信作業」に同時に追われ、広報の方にあまり手が回らない結果となりました。

今回はこれを反省材料に、秋に開催されたCOMITIA118の開催日10月23日から10日間オフセットした日程に配信日を設定しました。参加される作家さんたちが比較的おちついて電子配信に取り組める形となり、様々な形でこの企画情報を広げて下さいました。

http://togetter.com/li/1043356

f:id:y_nakase:20161102180737p:plain


おかげさまで、その情報から新たにエントリーされる作家がいたことも確認されています。

 

この企画がターゲットとする読者層にまで情報が行き渡っているかはまだまだ未知数ですが、今回の企画は一度限りのものではなく、一定期間ごとに「いっせい配信日」を続けて設定しています。徐々に企画の存在の知名度とこれを活用される創作同人の作家さんの数を増やしていきたいと考えていますが、

 

まずはこのブログ記事をお読みの後は是非、今回の「第1回いっせい配信」エントリー作品一覧をご確認ください。気になるタイトルがありましたら、是非、手を伸ばされることをお勧めします。

 

どうぞ、よろしくお願いします。

 

 

 

「新企画立ち上げ」と「ちょっと実験」

電子書籍に関する近況を少々。

まず、COMITA117「紙&電子同時配信」企画の結果をもとに9月の半ばに新企画を立ち上げ、サイトを作りました。

プッシュする看板を「コミティア新刊」の電子書籍からより広く「創作同人」の電子書籍に変え、ターゲット購買層を「イベントに来たことがない読者」に変更しました。また「いっせい配信日」を定期的に繰り返すことで、ゆっくりこの取り組みを育てていこう、育てて頂こうという計画にしました。

創作同人電子書籍」いっせい配信企画

詳しい内容については、上記の新企画サイトをご覧ください。

 
その一方で、私自身の配信活動としての「まるかふぇ電書」では昨日より、ちょっとした試みを始めました。

実は下記二つの書籍を他のストアでの配信を中断し、Kindle専売としてKindle Unlimitedに投入しました。

「 餅は農産物。餅はでんぷん質。餅は食文化。そして餅はおいしい。 」 

知ってるようで知らない(かもしれない)餅にまつわるお話。4つのエピソードでつづる「餅」四方山話の「餅」漫画読本。2015年12月のコミックマーケットにて「まるちぷるCAFE」より発行の自主出版誌。

Kindle Unlimited 発行: 2016/1/8 (紙版:2015/12/31)内容:25p /価格:100円/容量:4.9MB

「 分かっておくれよぅ もちファンの もちファンタジーを 」 

年末の餅つき、神社や近所の棟上げ.での餅まき、毎年飾る鏡餅、徐々に開拓した餅レシピ。「餅」にまつわる思い出をつづる餅漫画エッセイ。2016年1月開催のComitiaにて「乱痴気事虫所」より発行の自主出版誌。 

Kindle Unlimited 発行: 2016/1/8 (紙版:2016/1/30 )内容: 25 p /価格: 100 円/容量: 3.6 MB

 と言っても、私としては現在一番初心者にとって電子書籍配信に乗り出す際のハードルの低いマグネット→BOOK☆WALKERの連携をプッシュし続けたい事もあり、今回の処置はとりあえずKindleセレクトに一旦入れると専売維持の義務として課せられる3か月の期限一杯として、来年明けにはまた他のストア配信の再開を考えています。

 

まずは話題の「Kindle Unlimitied」での配信を自分自身も体験してみたいですし、こういう切り替えがすぐできるのが個人配信のいいところなので、やってみました。

 

でも、実は読者としてはUnlimitiedを使っていない私は、今現在、自分の本がUnlimitedに出ているかどうかはわかりません(^^;)。さしあたって、この本が気になっていた人でUnlimitedを利用している読者さんは、よろしければこれを機会にご一読ください。

 

<9/28追記>

Kindle内でUnlimitedで検索することで出ていることを確認できることを教えていただきました。ありがとうございます。検索の結果、今年1月の餅漫画企画にエントリーした中の5作品が今Unlimitedで読めることも判明!


<9/29追記>

新企画に早速、餅漫画企画でご一緒しました斉所さんよりエントリーの表明をいただきました。

【宣伝】関西コミティア49 新刊『かっぱとせ』 - 粉骨堂ブログ

hunkotu.hatenablog.com

 

「紙&電子同時発行」企画結果と課題

8月21日に開催されたCOMITIA117からはや2週間が過ぎ「紙&電子同時発行企画」にエントリーした電子書籍も販売開始後10日を越えて、そろそろ「販売状況」の評価できる時期となります。

 

こちらのブログでもそろそろ今回の企画の総括をしたいと思います。

 

まずは、今回の企画の実現には多くの方々のお力添えを頂きました。企画を技術的に支えて下さったBOOK☆WALKERとマグネットの2社、「企画応援」という異例な「部活動」を承認下さったコミティア実行委員会、企画に興味を抱いていただき、情報の拡散に協力して下さった皆さま、その企画にご自身の作品をエントリーさせて下さった作家の皆さま、そして、それら電子書籍をご購入ご購読して下さった皆さまに、心より御礼申し上げます。本当にありがとうございます。

 

企画にエントリーした本の詳しい情報はこちらでご覧になれますが

http://kami-densi-douji.jimdo.com/書籍リスト/

一覧をまとめると以下のようになります。

 

 

企画エントリー本(50音順)

作家&編者名

サークル名

登録ストア

1

あかズキンとオオカミしょうねん

陽気婢 

温泉忍者

BOOK☆WALKER

 

2

アンダーグラウンド・エンカウンター

弥生肇 

春夏秋冬春一番

BOOK☆WALKER

3

浮人形

smison 

BOOK☆WALKER

4

お隣さんと援交性活

くろがね 

TTSY

BOOK☆WALKER

5

御前崎沖浮体構造物

粟岳高弘 

あわたけ

Dlsite

6

清月龍之霹靂

belne 

アートファクトリィ

BOOK☆WALKER

7

銀廊絵画

沢音千尋 

ひややっこ隊

BOOK☆WALKER

8

早希の場合

GZ 

IMPULSE

BOOK☆WALKER

9

仕立て屋の過去と出張先の細かい妖怪達

高川ヨ志ノリ 

瓶詰天獄・人形地獄

Puboo

10

受動的知性体

八木ナガハル 

人類圏

Kindle

11

しょうかんまほうの応用

メイ 

虚空100万マイル

BOOK☆WALKER

12

触手な彼氏と不真面目な男。

貴津 

DEAD-POP

BOOK☆WALKER

13

じょこも!再録

十野七 

ミニマムセンチュリー

BOOK☆WALKER

14

叙情派ひとつ2016

編集 秋元なおと

メタ・パラダイム

BOOK☆WALKER

15

すずめノみくろ3

十野七 

ミニマムセンチュリー

BOOK☆WALKER

16

素浪人・野良之介 巻之二

えしま長月 

電脳吟遊館

BOOK☆WALKER

17

戦場のサンタさん。1

のはら福 

おはぎ堂(改め)のはら堂

BOOK☆WALKER

18

戦場のサンタさん。2

のはら福 

おはぎ堂(改め)のはら堂

BOOK☆WALKER

19

高田馬場のミカドちゃん

クロ僕屋 

クロ僕屋

BOOK☆WALKER

20

中国激安レーザー加工機個人輸入した話《前篇》

樹港 

レトロピリカ+nekoism

BOOK☆WALKER

21

道標 vol.1

編集 小桜店子 

身を尽くす会

BOOK☆WALKER

22

どこの馬の骨とも知れないお姫様のブルース

舞村そうじ 

RIMLAND

BOOK☆WALKER

23

徒歩で5分の別世界

なかせよしみ 

まるちぷるCAFE

BOOK☆WALKER

24

日本えろ昔ばなし さんまいのおふだ前篇

下山りりす 

りりすんち。

BOOK☆WALKER

25

バトル・オブ・ブリテン物語総集編

12月の薔薇 改訂新版

mao 

アトリエmao

BOOK☆WALKER

26

Hanemono Mini

編集 秘密結社

hanemono

アートファクトリィ

BOOK☆WALKER

27

はまれ虫

yygygy 

わいわいがやがや

BOOK☆WALKER

28

ペーパー本6

クロ僕屋 

クロ僕屋

BOOK☆WALKER

29

墨汁Aイッテキ!2016八月号

編集 僕墨汁

僕墨汁

BOOK☆WALKER

30

漫画の先生ep5.

なかせよしみ 

まるちぷるCAFE

BOOK☆WALKER

31

みかげ2

大空真紀 

まるちーず

BOOK☆WALKER

32

水遊び

smison 

BOOK☆WALKER

33

もぐもぐ酒

砂虫 隼 

乱痴気事虫所

BOOK☆WALKER

34

リヤ/スイ

小津端うめ 

千秋小梅うめしゃち支店

BOOK☆WALKER

 

以上の34作品にエントリーいただきました。

 

年4回開催されるCOMITIAで毎回出る「新刊」の数は推定で3000冊以上。その全数のわずか100分の1程度ですが、漫画あり小説あり、読み切りあり続き物の最新刊あり、健全本あり18禁あり、個人誌ありグループ誌あり、イラスト集、技術レポート本、エッセイ本等々…バリエーション的には「コミティア本」の全貌を代表するに相応しいラインアップが実現できたと言えます。 

 

しかし、企画全体の「成否」を考えると、残念ながら成功したと「言える部分」と「言い難い部分」がありました。実はこの企画はもともと3つの目的のために立案されたものです。

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 以下、これら項目ごとの成否について考えたいと思います。

 

 1)「電子書籍に参入しやすい環境整備」について

 電子書籍の市場は2012年より日本でも「出版社が出している書籍と同じ土俵」で個人が自作を配信できる場所になりました。しかし、個人が「出版社と同じ品質の電子書籍」を出すには「技術的ノウハウ」というハードルがありました。

 

原理的にはさほど難しくはないはずの「漫画本の電子書籍化」ですが、出版社と同一品質に仕上げる簡単なツールがないことが、多くの作家の参入を阻んでいました。まずは使用勝手のよい「漫画の電子書籍化」のシステムを整備することが企画の第一目的でした。

 

この目的は100%達成されたと言ってよいと思います。企画にあわせて整備いただいたマグネットのシステムは誰でも特別なノウハウなく「出版社と同様の電子書籍」が作れるシステムになったと言ってほぼ問題ありません。

 

このシステムについては以前のブログ記事で紹介しましたのでここでは割愛しますが、今回の企画にエントリーされた作家さんのほとんどがマグネットの使いやすさを実感された模様です。

y-nakase.hatenablog.com

  

 

2)「多数の創作同人作家による一斉配信」について

せっかく、どこの電子書籍の市場に出しても問題ない「創作同人」を手がけている作家さんが大勢集うCOMITIAなので、企画をなるべく多くの作家が電子書籍配信の実体験する機会にしていただきたい、というのが第2の目的でした。

 

マグネットの簡易な電子書籍作成システムと、さらにBOOK☆WALKERの簡易な配信登録システムは電子書籍市場の参入へのハードルを大きく下げるものでした。これは今回のエントリー34作中の31作までがBWで配信された点を見ても納得される話だと思います。さらには企画エントリー対象の「COMITIA新刊」以外の「既刊作品」を含めるとこの企画がきっかけに59もの作品が新たにBWに登録されました。

 

BW登録新刊

BW登録全数

31

59

 

 しかし残念ながら、この数値は企画の立案時の予想を大きく下回るものでした。実際、5月の東京コミティアを皮切りに関西、新潟、北海道、郡山と5箇所のコミティアおよび「グルメコミックコンベンション」で合計7000枚の企画広報チラシを配ったことを考えると、30人弱という作家数はちょっと寂しい数字です。

 

実は今回の企画でBOOK☆WALKERに協力を依頼する際に私が提示した看板は「作家100名のエントリーが望める企画」でした。結果的にその提示数には遠く及ばず、ご尽力に報いることができなかったことを大変申し訳なく思っています。

 

作家さんを企画に呼び込めなかった理由には「広報」の問題と「スケジュール」の問題があったと考えます。

 

広報の手段としてはチラシの配布と企画サイトの作成に重点をおきましたが、それだけでは作家の方々に企画参加のメリットや参加要領がなかなか伝わらなかった模様です。参加された作家さんの多くも参加要領に関する見落としが多く、その修正にもBOOK☆WALKERには多大なご迷惑をおかけする形になっていました。

 

スケジュール上の問題は、マグネットのシステムが「実質使える状況」に整う時期が8月にずれ込んだことでした。

 

これには実は、企画で活用する際のシステムの大きな問題点として「電子書籍化されたデータの画質がオリジナルの画像よりボケる」というトラブルが遅れて発見されたという経緯がありました。このトラブルを克服して「システムが問題なく使える」と企画のツイッターアカウントでアナウンスできたのは8月4日です。

 

もうこの時期には、多くの作家は8月12〜14日のコミケ、そして21日のコミティアに向けて傍目も振らずに原稿用紙に向かっている状況。イベント開催までにこの企画に心を傾ける余裕は到底なかったものと思われます。 実際に企画に参加したのは6割以上が企画に関する情報を随時配信していた私との面識のある作家さん、7割は早くより「企画応援部」の部員として企画参加を早くから決断されていた方たちでした。 

 

参加作家数

なかせの知人

企画応援部員

28人

18人

20人

 

64%

71%

 

本来はその方たちが整備の終わった「システムの使いやすさ」を実感した上で「企画参加のメリット」とともに回りの他の作家さんたちに情報を波及していただけるつもりでした。しかし、今回これらの作家さんたちが自作の電子化を試みることで手一杯で、この2次的な情報拡散を図る猶予は到底ありませんでした。

 

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3)「電子書籍の購買層へのアピール」について

コミティア作家の多くが同時に新刊を電子書籍配信すれば、その活動はSNS等で話題となり、電子書籍読者の目を引くことで「注目」と「売上」を個々の作家に還元する、というのが今回の企画の第3の目的でした。

 

しかし、残念ながらこの目的についてもあまり芳しい結果は得られていません。企画にエントリーで配信された本は、企画なしで個々でバラバラに販売された場合に比べれば「注目を集めた」ことは多分間違いないと思われます。しかし、その結果として現れるはずの売上げの伸びは予想したほどではありませんでした。

 

実は、この企画の手本となったのは今年の年始に行われた「餅まんが」企画でしたが、餅漫画の販売数に比べると、今回の企画でのうちでの本の売れ行きは10分の1程度でした。

y-nakase.hatenablog.com

 

当初は目標の作家数を集められなかったことによる広報力の不足のせいかと思ったのですが、更に確認すると、この企画との比較のためにうちで5月に5冊の本を出した時よりも今回の方が電子書籍の売上の伸びが鈍いことに気づきました。

 

y-nakase.hatenablog.com


どうやら今回の企画の販売戦略自体に大きな欠陥があったと認めざるおえません。

 

もともと今回の企画は、2週連続のコミケコミティアで「東京まで来れない」読者を電子書籍購入の「第一購買層」として想定していました。この読者たちが会場に来る代わりに電子書籍を買えばこれが販売の求心力となり、他の電子書籍読者にも「コミティア本」という新ジャンルに興味をもってもらえると考えていました。

 

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しかし、前週のコミケの疲れが抜けきっていなかったのか、あるいは「紙の本」を次回以降のコミティアで入手することに重きを置かれたのか、この「第一購買層」の集中は見られませんでした。

 

あるいは、そもそもこの企画の存在自体がほとんどの読者が気づかれていないのかもしれません。実は、COMITIA当日の会場では「新刊を電子書籍で同時配信しているサークル」がいることに気づいた読者さえもが、背景としてこの企画が存在することを察知できていない状況が多々見受けられました。

 

いずれにせよ、第一購買層が動かない中では「コミティア本」「COMITIA117新刊」といったブランド名は一般の電子書籍読者の方々にはさほど魅力あるものとして写らなかった模様です。

 

企画の反省と今後の展開 

このように、今回の企画は実行のタイミングや企画広報の内容およびその拡散に大きな問題がありました。そのため立案時の目標にはかなり届かない結果となり、立案した私にとっても大いに反省すべき材料となりました。

 

しかし、今回の企画に気づかれた方々からは多く「面白い試みだ」「会場に行けずともコミティア新刊が買えるのは有難い」といった好意的な意見が届きました。また単純に「買う際の選択肢が増えるのは嬉しい」という声もいただきました。

 

実際、今回のコミティアではうちの本について「電子でももう出てるの?じゃあ、そちらで買います」と言った読者さんも数名おられました。しかし、同時に「電子書籍で著書を知ったので紙でも買ってみたくて来た」という読者さんも数名来られて、結果としてコミティア当日の本の売れ行きは昨年の8月コミティアとほぼ同じ(誤差レベルでは少し多いくらい)でした。

 

また、イベント当日は多くの知人作家から「今回の企画に参加したかったけど、うちには新刊がなかった」といった声も寄せられました。コミティアの作家さんたちの間では電子書籍という市場への期待自体は大きいと思われます。

 

さしあたって「新刊・既刊」を問わずエントリーできる企画をツイッターアカウントで提言してみたところ、多くの方から反響をいただきました。

 

この新企画を今年の11月3日(木・祝)での実施で現在検討しています。 

 

新たな企画では参加を募る意味でも、電子書籍の市場で企画に注目していただく意味でも、「企画参加の作家さん」による情報の拡散が今回の企画以上に大事な要素なると想像されます。

 

しかし、やるからにはなるべく多くの創作同人作家が気軽に参加できるものにしたいですし、また、創作同人の魅力をなるべく多くの読者にアピールできる形にしたいと考えます。今回の企画での問題や課題を吟味し、それを改善した形で実施したいと思います。

 

「創作同人」と「電子書籍」は本来は相性がとてもよいものです。

 

この二つの関係性をよりよいものにするために打てる手立てはまだあるはず。そして、そんな中で私にできることがあれば、骨身を惜しまず尽力したい所存です。

 

今後の企画にご期待をいただけますなら、もうしばらくお付き合いのうえ、よろしければこの活動の情報の拡散にご協力ください。次の企画がまとまりましたら、またこのブログ等で情報発信いたしますので、どうかよろしくお願いします。

 

今回の企画参加者への要望

最後になりますが、

今回のCOMITIA117「紙&電子同時発行」企画にご参加いただいた皆様へ、

お願いしたいことがあります。

 

できれば今回の企画に参加された状況をご自身のブログなどにお書きください。twitterでいくつかのつぶやきに分けて発言いただくのでもいいです。「企画参加を決めた経緯」「参加で苦労されたこと」「参加の際に気づいたこと」「参加で手応えが得られたか否か」「今後の企画に対しては希望を抱かれているか否か」…等々、企画に関わるご自身の印象を情報としてなるべく多く発信してください。

 

これらの情報は今後の企画を進める上での大きな手がかりとなり、今後の企画への参加を検討される方たちにとっても大事な判断材料となります。みなさんが今回の企画で得た情報は、今後「創作同人誌」が電子書籍の市場で広がっていくための大切な土台です。貴重な情報をご自身の中に止めず、なるべく拡散してください。

 

どうか、よろしくお願いします。

 

 

<2016年9月14日追記>
新企画のサイトを立ち上げました。

「創作同人電子書籍」いっせい配信企画