なかせっとHatena

漫画家「なかせよしみ」がちょっとまとまった文章を公開するためのブログ

「創作同人2020年7月」レビュー

2020年7月23日に第13回目となります、創作同人電子書籍の「いっせい配信」企画が無事に執り行われました。企画の詳細についてはTogetterのまとめもありますので、よければご参照ください。

togetter.com

 

私と砂虫さんの今回のエントリー作品はこちら。  

https://pbs.twimg.com/media/Edbr6umU8AM7kAT?format=jpg&name=medium
クリックで詳細を見られます

 

これらを含めて企画では現時点で(2020/7/24 7:30)13人の作家による20の作品が新たに電子配信となっています。今回もまたこれらのエントリー本のいくつかについて紹介文を順次書いてみようと思います。

 

2020/07/24                                                                                                                                                                           

 <紹介>

「もう4年も経つんだ あいつはもう死んでるんだ」

斎に想いを寄せる妹の花耶。その兄は今は亡き友人の市ヶ谷隆行にいまだに想いを寄せている。兄妹と友人同士の想いが三角関係に重なり合った現代物恋愛譚。2編で構成。 

「ダイヤモンドの針」…隆行の亡き後に残された2人の風景を描くショートマンガ。
「フラジャイル」…斎、花耶、隆行の3人が互いの想いを重ねるに至る顛末を描くストーリーマンガ。

2008年8月のコミックマーケット74にて「UMIN'S CLUB」より発行の冊子を電子書籍化。

<なかせ評>

BL vs 近親恋愛の漫画。難解な恋愛関係の成立が妹の花耶の視点で分かりやすく描かれている。話を語るキーアイテムとして用いられているアナログレコードにちなんだ表現が詩的で味わい深い。
個人的には最後まで花耶が隆行へ言葉の上では否定しながらも寄せている想いを深読みしてしまいます。

フラジャイル

 

 2020/07/25                                                                                                                                              

 

<紹介>

「おお 怖い怖い ヒュドラ姉の男嫌い発動」

異性同士で組む冒険者パーティでは相手との肉体関係を持つ習慣がある世界。男嫌いの女剣士ヒュドラは優男の重戦士ヤマタとパーティを組む。ヒュドラを異性と意識しつつも適度な距離を保つヤマタだが…。

RPG冒険ファンタジー世界観で展開するエロストーリー漫画。
2020年7月にイベント販売用のコピー本として作成した上下2巻作品を電子配信にて先行販売。

<なかせ評>

世間的な風習にどっぷり浸る2人と風習をよそに距離をとる2人の合計4人パーティという構成で状況がわかりやすい。
互いに適切な距離感を維持していた2人が惹かれ合うという展開は読者の期待を裏切らない。

露出度の高い「戦闘装束」の設定は疑問を呼ぶが、そのデザインは意欲的で面白い。 

ラスト・ファンタジー

 2020/07/26                                                                                                                         

 

<紹介>
「コマとコマにの関係性には『瞬間』『行動』『被写体変更』『場面転換』『空気感』『メタ割』の6つの分類がある」

マンガをシーケンシャル・アート(連続した芸術)ととらえるスコット・マクラウドの著書「まんが学」を解説するとともに、作者自身の漫画表現に関する学術視点の研究を紹介。
2014年頃より公民館等にて実施のまんが講座での配布資料や、同人イベントにて「クロ僕屋」より配布のペーパーで発表のまんが研究記事を編成して電子書籍化。

<なかせ評>
漫画家が普段なにげなく用いているコマ運び等の意味論追求が興味深い。
「より読者の誤解を招かない表現」「ついつい単調で凡庸に陥りがちな表現からの逸脱」を求めて漫画に向き合う作者の真摯な姿勢が伺える研究本。
大元となっている書籍「まんが学」は滅多に手にできないもののようで、図解付きで解説してくれる本書はありがたい。

<蛇足>
用語が所々「?」。演劇での「演者=キャラクター、役柄=ペルソナ」と書いているが、私なら逆にする。
文章が中心の書籍だが、画像文字なので読者が「拡大機能」に慣れているリーダーを使えるストアで購入することをオススメ。
 

クロ僕屋まんが資料集

  2020/07/28                                                                                                                

 

<紹介>
「勝手に連れてくなよ そいつはオレの妹だぞ」

アサギとイサギは軌道衛星都市「オリンピア」での研究に参加するため宇宙へと旅立つ。しかし、到着目前にオリンピアは爆発、2人が乗っていたシャトルも大破。瓦礫のなかでイサギが気付くと、異形の者がアサギを連れ去ろうとしていた。

どんな言語もすぐ習得してしまう天才双生児が宇宙と異世界で繰り広げるSF冒険漫画。 2017年8月のコミックマーケット92にて「空風館」より発行の自主出版誌を電子書籍化。

<なかせ評>
人類以外の描写は「ファンタジー」に近いが、宇宙の描写や2人が天才的な言語能力を習得する設定は文句なしの「SF」。
物語の時系列が前後していてとっつきづらく、1巻は事態がようやくはじまったところで切れている感があるが、重厚な物語展開を予感させる作り込みです。

CHAOS×COSMOS - LOST CHILD in the ASTROVEIN 01

  2020/07/29                                                                                                      

 <紹介>
「世界があまりに悲しいので ホッキョクグマと一緒に凍えてしまいたくなる」

地球を温暖化に追いやり、感染症拡大の困難を弱者にしわ寄せる「人類」の1人として作者は流氷の上で北極熊と対話する。

新型コロナ禍中の2020年4月〜7月にかけて作者が描いたweb投稿作&サークル「Rimland」のエアイベント用ペーパー用&書き下ろしの漫画集。百合モノ多目。1p〜12pの短編を計13編綴って電子書籍化。

<なかせ評>
百合漫画はいつも通り。コロナに言及する作品はちょっと悲壮感を入れるが笑いの方向に転換。いまの状況下でも割といつも通りに(息を吐くように)漫画を描いている作者はすごいと思う。

<蛇足>
「ストレートに行こうぜ」の「漫画はこんなものでいい」論に説得力がある。チラシ裏書き絵のスマホ撮り画像でも電子書籍になる。

こんな時でも描いてた漫画

  2020/07/30                                                                                        

<紹介>
「あんたに『やっぱり結婚っていいかも♪』って思わせてあげる!」

友人の結婚式で気持ちが盛り上がる麻梨は、DV夫との別れを引きずる咲夜と温度差を感じる。妹がこんどこそ幸せな結婚を夢見れるよう麻梨は姉として一念発起するが…。

海の見える診療所を営む異母姉妹と周りの人々の人生模様を描く「"海"連作」シリーズ第4作&完結編。2019年6月の新潟コミティア51にてサークル「千秋小梅うめしゃち支店」より発行の自主出版誌を電子書籍化。

<なかせ評>
お互いを一番に想う姉妹の思い入れが交錯する。魅力的な人物たちが織り成す恋愛&人生模様が人の「弱さ」「強さ」を問いかけたシリーズが完結。 

<蛇足>
巻末見開きの集合絵には主要人物たち7人の数ヶ月後の姿が描かれているが、さらにもう少し先の未来も見せて欲しい気持ちが残りました。

青空の下、海原の上

 

  2020/07/31                                                              

<紹介>
「海に行ったあの日から あなたの声が波の音に聞こえる」

夏を過ごすうちに「あなた」の話の「わたし」への伝わり方が変わったことに気づく。

夏を過ごす恋人たちの情景を描いた短編マンガ2編。
2002年「貝殻」 1992年「ひかげ」
サークル「突撃蝶々」より発行の創作同人誌よりの再録を電子書籍化。

<なかせ評>
詩的でリリカル。ベタ&トーン多めで言葉多めの92年作品と余白多めで言葉少なめの02年作品。少女漫画家の「進化」が伺える2作品の比較が面白い。

<蛇足>
個人的には盛んに言葉のキャッチボールをしながらも肝心な言葉は隠している2人が好き。

貝殻

  2020/08/01                                                              

<紹介>
「どこにでもいる ごく普通の 悪の組織です!」

「悪の組織」を名乗る黒いかぶりものの3人組が街中に出現。彼らは「悪」とは、「正義」とはを問いながら、基本的にはなにもしない。

物語展開等は特になく、作者が思いついたこと、考えたことをつらつら描く随筆的漫画。 2015年8月より漫画投稿サイトとnoteにて連載の(カラー4コマ漫画×4本&解説)×20話および雑誌投稿のプロトタイプ第00話を収録。

<なかせ評>
ポップでリズミカル、キュートで哲学的。 基本的に黒かぶりもの3人、市井の女の子1人(青髪とオレンジ髪の2バージョンあり)、悪の組織代表の「スメラギもと子ちゃん」の合計5人が「悪の組織って何?」を問答するだけの構成なのにそのバリエーションが豊かで驚きます。

悪の組織サンダー 1: 誕生
   2020/08/02                                              
<紹介>
シリウス カノープス フォーマルハウト 頭文字をとってこの昆虫たちは『SCF特異昆虫群』と呼ばれている」 同じ形の昆虫が遠く離れた別々の惑星で発見された。
幼少の頃その発見を関わったマユコは後にその研究に携わるが…。 宇宙で進化する昆虫とその驚きの研究に携わる 少女と機械人間の教授の活動を描く読み切りSFストーリー。
2011年5月のComitia96にてサークル「人類圏」より発行の冊子を英訳して電子書籍化。(日本語版電子書籍は2015年に配信)
<なかせ評>
美少女と異形の教授が奇想天外な研究を繰り広げる八木ナガハルSFの真骨頂が詰まった掌編。宇宙の背景に描かれる巨大昆虫や少女たちの姿はファンタジックで絵画的。
<蛇足>
英訳はコンテンツビジネスの会社に委託されてようですが、その訳がところどころ「?」だったり、冗長だったり。タイトルの英訳も私なら「SCF Isolated Insects」と訳すると思う。
 
                                                
<Intoruction>

SFC” stands for “Sirius” ,“Canopus” ,“Fomalhaut”. Those are the stars of the planets where the insects were found . We call them “The SCF Isolated Insects”.

 

The same insects were found on different distant planets . Mayuko as a little girl took part in it’s discovery , and grew up to participate the study of their species .  But,,

 

A Sci-Fi short story manga , featuring the evolution of insects in space , and the amazing experiment done by a girl and a machine-human professor . 

 

Digital release of a translation from a Japanese self-published book released at a manga convention “Comita96”  held in May 2011. (Japanese version digital released in 2015)

<Note>

 One of the best of Nagaharu Yagi’s  Sci-Fi manga featuring an outstanding research by a girl and cybernetic people . The composition of girls and huge insects drawn on a universel background is both picturesque and fantastic .

SCF Distinct Insects

 2020/08/06                       

<紹介>
「警告。実行中の限定術式[傀儡回し]の対象が失われました」

桐生の呼び出しを受けた襲の護衛に、伊月は傀儡として操る黒姫奈で同行。しかし、桐生が連れてきた異能の子供の強力な一撃を黒姫奈は喰らい潰される。

9歳の少女と彼女を前世から溺愛する最強の吸血鬼の2人を中心に皇国の守護たち、自動人形たち、異能者たちが繰り広げるアクション・ファンタジー・ストーリー。 WEB連載の長編小説「ろくでなしの花嫁とひとでなしの吸血鬼」の第94〜103話に加筆の上でまとめた第4巻。
前世の黒姫奈時代のエピソード2編、及び成人後の伊月のエピソード1編も収録。 TSリバ(性転換攻受逆転)の性交描写を含む。

<なかせ評>
「俺様パワハラ野郎」として伊月が(黒姫奈としての記憶で?)毛嫌いする速水宿の桐生との初の対面からいきなりのバトル。桐生に操られていた異能者の弥姉弟のこれまでの経緯と今後の活躍が気になる。

<蛇足>
この作者の文体は無駄がなく、話の展開はスピーディー。しかし、ややもすると説明を省きすぎて、「場面状況」や「誰が誰に向かって言ったセリフか」を理解するため同じ文を繰り返して読み返すはめになり、読むのに時間がかかります。今回、私は1〜4巻まで通して読むのに4日かかりました。

(黒姫奈時代のエピソードの1つ目はこの読みにくさを逆に利用して意外な結末に誘導する展開が面白かった。)

個々の登場人物の呼称としていく通りもの名詞が単独に表記される点も読みづらい要因ですが、今回は読みながらそれらをメモ帳で箇条書きすることで幾分解消されました。ただ、現時点で私のメモに列記されたキリエの呼称は「グレード1」「混ざりもの」等々含めて27通りも並んでいます。

プライベイト・ヴァンパイア RE094-103

 2020/08/07      

  • <紹介>
    キャノピー付きの前方2輪の電動トライシクル(三輪車)に乗った女性が竹林を抜けて訪ねた先は竹材を扱うお店だった。店の主人は彼女に竹製の合板を紹介するが…。
    牧歌的ながら少し未来感のある日常風景を切り取った未来エコファンタジー漫画。本文6pフルカラー作品。
    10数年前に構想した案を電子配信用に製作。構想時のラフ案も収録。

    <なかせ評>
    景色の見晴らしに定評のあるリカンベントスタイルの乗り物で走り抜ける竹林の情景は爽快。ラフには表記されていた説明セリフを本編では一切排し、音楽シーン以外はサイレントに仕上げて、「音」要素の純度を高めている。どんな音色が奏でられているのか興味をかき立てられる。

    <蛇足>
    ラフもラフなりに味のある作品なので、併録はよかったと思う。ページ数を増やしても印刷費のかからない電子書籍ならではの構成。

    竹の音

    ーーーーーーーーーーーーーーー

    他のエントリー本についても紹介文をこのブログに書き足していきますので、後日にまたこの記事に再アクセスしてください。

    レビュー中の<紹介>の部分には、それぞれの本の電子書籍ストアでの「内容説明」の文章を「私ならこういう書く」と思った内容で書かせていただきました。電子配信をされている作家さんはよければご参考にして下さい。

     

     

     

第13回いっせい配信企画「創作同人2020年7月」

第13回いっせい配信

2020年7月23日海の日)に第13回目の創作同人電子書籍の「いっせい配信企画」=「創作同人2020年7月」が実施されます。この企画は配信する電子書籍ストアを問わず、作品を自主配信してる作家さんが配信日を揃えて、配信情報を互いに広め合うオンラインのイベントです。

 

https://66.media.tumblr.com/25e0f0c0f6a2261177464ef291ea4144/d37429860dc88c5e-3c/s1280x1920/a772e98af98172fae7e96750daab0801a78adc83.png

   配信日にあわせて現時点で11人の作家さんによる16作品の予約購入および購入用チェック(お気に入り指定)が可能です。

 

「まるかふぇ電書」の新刊は2冊

私(なかせよしみ)と砂虫さんの本を配信している「まるかふぇ電書」はそれぞれ1冊ずつ計2冊の本を配信します。

 

 「竜飼い16」は鈴子が巻き起こした波乱の顛末を描いたお話、「りる」は「夢見が丘のりる」シリーズのエピソード0(ゼロ)です。

https://pbs.twimg.com/media/Edbr6umU8AM7kAT?format=jpg&name=medium

 

企画サイトの改変

前回3月の以降の変化として企画サイトの改変があります。

以前より「いっせい配信」の配布チラシを見ても「誰が何をすればいいのかよく分からない」という指摘があったので、順序立てた企画エントリーの手順書をビジュアルに作成してみました。

<クリックで画像を拡大できます>
https://64.media.tumblr.com/5ebc9aa00c270b13b9d87db9ed0b23e2/d37429860dc88c5e-b2/s540x810/5d37e62b78834eb66c47b47a0f296212117f660e.jpghttps://64.media.tumblr.com/f7c8fc56e791f3d0aad0121bb0fa5740/d37429860dc88c5e-79/s540x810/e81616f9e035a9dbcef6eef201489b7f8a76d2d4.jpg

企画サイトでは、手順の一つづつに関わるFAQページへのリンクが貼られ、細かい疑問にも対応する形にしました。 これで「いっせい配信企画」をはじめて知った方にもわかりやくなったのではないかと思います。

 

コミケがなくなった2020年

しかし、今回の「いっせい配信」は、まだ飛び入り参加で増える可能性は残っているものの、「初めて参加した」という作家さんはまだおらず、エントリー書籍数も通常の半分くらいです。
前回の「第12回いっせい配信」では「オンラインのイベントは異変に強い」と思ってましたが、どうやらオンラインでの創作活動にも先行きが見えない新コロナが影を落としているように感じます。

私自身も毎回の「いっせい配信」には多ければ3冊の配信をリリースしているに、今回は過去の本をリメイクした一冊のみのエントリーです。5月のエアCOMITIAに出した本を紙&電子同時配信で早々とリリースしたこともありますが、自分の生産ペースが下落していて、ちょっと愕然としました。

https://64.media.tumblr.com/d143d4e5f3f59538793392ddb7a9680a/d37429860dc88c5e-51/s500x750/4db5f268e5852284c91706538579a683097a4fe6.jpg

自分としては毎日サボらず、意欲的に作品作りに向き合ってきているつもりですが、健康維持に生活の重心をとられていることに加え、「修正がきかない印刷物」を「何月何日」まで用意しなければならない、といった切迫感のなさは作業をずるずると長引かせているようです。

7月12日にはコミックマーケットの運営からメールで今年の冬に開催予定だったコミケ99は来年のGW開催にリスケジュールが通知されました。数千人クラスのイベントは現在9月の開催に向けて動いてますが、新型コロナの感染者数が大都市中心に再び増加に転じている昨今、これらに積極的に関わるべきかどうかは迷います。

当面は大きなイベントの存在を創作ペース上げの特効薬にはできません。この状況で何をすべきか、何ができるかが今は大きな課題です。

 

 

 

エアComitia132extra

エアコミティアが開催されました

先日、2020年5月17日は創作オンリー同人誌即売会「Comitia132extra」の開催日でした。

年に4回、有明ビッグサイトで開催され数千人の作家が本を手売りする「コミティア」。その中で毎年5月5日前後にに開催される回が最大。今年はオリンピックの開催予定で8月から5月に変更の「コミケ」に押し出される形で「コミティア」は5月17日の開催予定でした。

しかし、新型コロナの影響でコミケコミティアをはじめ、大人数を集める漫画イベントがことごとく中止。代わりにその開催予定日にはtwitter上でイベントの公式アカウントや参加予定だった作家たちが「あたかもイベントが実施されている」という程(てい)で書き込みをする「エア開催」がつぎつぎと実施されました。

「#エア春コミ」「#エア名古屋コミティア」「#コミケ」のハッシュタグをつけた「会場に移動中」「設営完了…本日のスペースはこんな感じ(写真つき)」「開会しました〜」等々。もちろん、実際の会場には誰1人足を運んでいないわけですが、twitterの上ではあたかもイベントがにぎやかに開催されているかのように見えます。つまり「イベントを開催していますごっこ」です。

しかし「ごっこ」ながらも、これらの「エアイベント」あわせに作品の新刊を出すサークルは多数あります。ちゃんと印刷所に原稿を入稿してイベント期日に刷り上がった本を確保。そして、その新刊の「通販を開始しました情報」をエアイベントのハッシュタグつきツイートで開催時間中に発信。
 イベント中止が相次ぐ中で大きな打撃を受ける同人印刷の会社の経営を少しでも助けようと、少部数でも印刷しようと作家さんたちは頑張っています。5月17日の#エアコミティアでも多くの作家が新刊を用意した模様です。

エアイベント

まるちぷるCAFEの新刊

かく言う私もエアコミティアあわせで新刊を出しました。現在、その通販をBOOTHにて受け付けています。

nakasette.booth.pm

内容がこれなので、当然のようにこの本は電子配信も同日に開始しました。

エアイベント合わせに新しい本を出された作家さんもそのコンテンツを活用して少しでも資金を回収して今後の活動の一助とするため、その参考にでもなればと思ってまとめた本でした。

「いっせい配信企画」サイトの特設ページ 

しかし、エアイベントに参加してあらためて感じたのは作品の「売り難くさ」でした。エアコミティア当日に通販の依頼が来ましたが、その数はイベント会場で本を買っていく人の数には遠く及びません。「イベント会場に人が集まる」ことで発生する「購買力」は大きく、それこそがイベントの真髄。現物の書籍を目にした読者が「買いたい」と感じる衝動をオンラインではなかなか再現できません。

作品は読まれないことには評価はされず、買われないことには読まれません。まずは読者の購買意欲を後押しするものが必要です。イベントでは「人が集まる」ことがその役目を果たしましたが、オンラインでは「オンラインなりの販売戦略」が必要です。

オンライン用の戦略として私が考えたのは、オンラインで購入できるうえに「入手した手応え」を購入者が即時に感じられる「電子配信作品」にスポットをあてること。また「人を集める」ことができない今は、代わりに「情報を集める」ことでした。

 そこで思いつきですがエアコミティアにあわせて作成したのが「創作同人電子書籍いっせい配信」企画のサイト内の特設ページです。

 

 

 こちらのページに現時点で36点の電子配信作品が紹介にのぼっています。まだまだ、情報を募集しながらページに情報を追加しているので、よければこのブログをごらんの皆さんも「#創作同人電子書籍」のハッシュタグをご活用いただければと思っています。 

twitter.com

エアコミティア作品レビュー 

実は「エアComitia132extra」の「出品作品」を名乗る電子配信作品はBOOK☆WALKERでは13作品BOOTHでは892作品もあります。これらの中で私自身も数点買った作品の紹介を以下に書き綴ろうと思います。

 

2020/05/22記                                                                                    

<紹介>
「今年こそは嘘つくのやめて 好きって言いたい」

悠里は小学生の時についた「異性の唾液を摂取しないと死ぬ病気だ」という嘘で幼馴染の大志と毎日のキスを以来5年間つづけている。いまさら「嘘だった」と明かせない悠里は悩みながらも大志とイチャらぶな日々を過ごす。

「月刊まんがくらぶ」連載で竹書房より単行本化の漫画の追加エピソードを「おでんランチ」より自主出版発行するシリーズ4弾目。 中学3年〜高校入学にかけての過去エピソード「中学3年生のバレンタイン」「もうすぐ入学式」の2編、及びおまけ漫画&カットを収録。

<なかせ評>

客観的にはラブラブはっぴーな2人だが、自分の「嘘」で築いてしまった壁に苛まれる悠里の心情描写が細やかで惹き込まれる。シリーズ全体は「イチャらぶな幼馴染カップル」の小学生〜高校生エピソードに読者をほんわかニヤニヤさせながらも、ときおり悠里が見せるフェチ趣味や大志が見せる独占欲で読者をたじろがせる。その絶妙なバランス感覚こそがこの作者さんの真骨頂だと思う。

となりのバカと続く嘘 中学3年生の悠里ちゃん

  

2020/05/23記                                                                                    

<紹介>

「この家にいる動物は昔からこうでね」

13歳の少女の日毬は極端な人見知り。

彼女は父とともに犬2頭と猫2匹と一緒に暮らす祖父の家を訪ねるが、その家の動物たちは人に変身することができた。

「動物は好きだけど大きい人は恐い」な内向的な少女と犬猫たちの交流を描くコメディ4コマシリーズ。

2015年〜17年にかけて「夏草生産農家」より発行のシリーズ4冊子に加えてweb限定公開漫画、シリーズ開始前のラフ漫画、創作過程を綴るメモ等も収録した総集本。

<なかせ評>

基本的に1人でいることが苦にならない主人公であるながらも、時々「人見知り」を克服しようと見せる積極性に好感が持てる。キャラクターごとに書かれている最終設定に至るまでの過程の解説に創作時の作家さんの思考が垣間見えて興味深い。

女の子が行きずりで遊び相手になった犬と猫

 

2020/05/24記                                                                              

 

<紹介>

「自分が当事者になる可能性なんて まるで考えてなかった」

軽い気持ちで「同性愛?あたしは『アリ』だなー」と発言した とも子 はその直後に親友のサチ子に「好きです」と告白されてしまう。美少女の親友とこれからどう接していけばいいかとも子は悩む。

実際の同性愛に直面した女子高生の葛藤を描くコメディ漫画。2015年2月のComitia111に「馬鹿星人」より発行の自主出版誌をエアComitia132extraにて電子化。

<なかせ評>

軽はずみな発言で思わぬ事態を引き起こす展開がとてもリアル。

告白されたことはちょっと嬉しいながらも「親友としてどう対処すべきか」悩む とも子は真摯で好感が持てる。サチ子もまた親友思いのいい子。

話の展開はスムーズで描画も丁寧。100点満点の「百合漫画」。

もしも私が百合ならば

 

2020/05/25記                                                                               

<紹介>

「冗談じゃないわ もしアレがアメリカの街なかに降ってきて ニュースにでもなったら…」

地球付近に出現した宇宙戦艦は侵攻作戦を開始。

そのころ女子高生の芹沢理香はおじーちゃんが作った「全自動洗濯機」が洗濯物を空高く放出してしまい、彼女の下着はジェット気流に乗ってしまった。

作者が20歳前後の1992年に定期発行同人誌「MOON」に連載されたストーリー漫画(第2話で中断)。巨大ロボが出現するまでのストーリーと設定資料を収録。

<なかせ評>

90年ごろの同人活動を経験している者なら身に覚えのある作風と制作経緯。

しかし、その頃の自分の力量を考えると、この作家さんの描画も設定の作り込みも「ただならない」と気づくはず。

巨大ロボットが活動するまえに話が終わってしまっているのが残念。

爆裂電脳ドデガイン!1

 

2020/05/26記                                                                              

<紹介>

「いつまでも同人活動を楽しめたら良いなって思います」

AI技術の発展、出版の未来、電子決済、作家の高齢化。 10年後という「ちょっとリアルに近い未来」の同人活動を描いた4コマ漫画集。

2019年8月のComitia129にて「猫忍荘」より発行の自主出版誌をエアコミティアにて電子配信。

<なかせ評>

新型コロナ以前に書かれた本で、同人活動の未来像がぼんやり、のほほんと描かれています。 わずか6ページですが今あらためて読むとこれが描かれた1年前の起点がなつかしい。

このような「何気ない時代の何気ない思考」を残ることがある意味、自主出版活動の醍醐味。

2030年の同人活動

 

2020/05/27記                                           

<紹介>

引っ込み思案で都会の学校があわず田舎に転校してきた沙姫(さき)。

彼女に真っ先に声をかけてきたのは方言丸出しのみゃーこだった。

8編の1ページ漫画でつづる2人の女子高生の出会いの1日。

 

2019年5月のComitia128にて「APRICO*」より発行の自主出版誌をエアコミティアにて電子配信。

<なかせ評>

「連載の第1話のみで本編はこれから?」のような物足りなさはあるものの

百合少女漫画のエッセンスは十分につまっている。

人見知りの沙姫と人懐っこいみゃーこの対比がよいバランス。

絵も可愛く、みゃーこがまくしたてる方言は「声に出して読みたい日本語」。

都会JKと田舎JK【創作百合】

 

2020/05/28記                                           

 

<紹介>

「クリーニングしたばかりのシャツが形を崩したクリームとスポンジで肌と混じっていく」

クリーニング屋店員の日高さんは異様な汚れのスーツを持ち込んだ不動さんと知り合う。

互いに惹かれ合う2人は度々ともに食事(不動さんのおごり)をする仲に。

日高さんの誕生日に不動さんは手作りのケーキを用意するが…。

(18禁表現無しで)淫らな行為へと進展しいく2人を描く読み切り百合漫画。

2018年2月のComitia123にて「おおきめログハウス」より発行の自主出版誌をエアコミティアにて電子配信。

<なかせ評>

フェチズム漂う着衣エロ漫画。

物語の時系列が前後しながら進行するので因果関係が読み解きにくいが、淫靡な雰囲気がそれでむしろ増している。

作者のツイッターに全ページ掲載されているので内容はそれで十分読めるのですが、あえて手元にとっておきたいと思って購入しました。

あれは蜂蜜じゃなかった

 

2020/05/29記             

 <紹介>

「90年代の同人誌の熱気のようなものを少しでも感じていただけたら幸いです」

三蔵法師の一行は悟空の不在中に山中で縛られている女を助ける。その夜に三蔵は具合が悪くなり床に伏すが…。

西遊記をモチーフに描かれたバトルアクションの短編漫画集。

1992年〜1994年に合同誌サークル「ハーベストホーム」発行の「鉛の飛行船」に掲載されたシリーズ3作を収録。

<なかせ評>

緻密な筆致で描かれた圧巻のバトル漫画。 大友克洋先生、士郎正宗先生を敬愛する作者が20代の情熱を注ぎ込んで描き上げ、作者ご本人も「もう描けない」とあとがきに記すほどの至高の作。 特にイルカとして描いている沙悟浄のキャラデザインが独創的ですばらしい。

<蛇足>

この力作の存在をご存知だった方は結構いるようですが、私は知らずにいて「よくそれで創作同人を語れたなぁ」と気恥ずかしくなりました。さらにはそんな作品に100円で出会えたという驚き。電子でなければ有りえない値段だし、「エアコミティア」という機会がなければ発行されなかったであろうと思うので、いろいろ考えさせられます。

西遊真詮

 

「創作同人2020年3月」レビュー


2020年3月20日に第12回目となります、創作同人電子書籍の「いっせい配信」企画が無事に執り行われました。企画の詳細についてはTogetterのまとめにありますので、よければご参照ください。

togetter.com

「第12回いっせい配信」では私(なかせよしみ)と嫁さん(砂虫隼)の作品を電子化している「まるかふぇ電書」から6作品が配信開始となりました。

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これらを含めて企画では現時点で(2020/3/20 10:30)20人の作家による33の作品が新たに電子配信となっています。

ところで現在、世界では新型コロナウイルスの感染がパンデミックに拡大しており、ありとあらゆる活動に影を落としています。日本の自主出版の方面でも同人誌イベントが次々と中止or延期となり、先々の開催が見通せない状況にあります。オフラインでの活動が難しい分、せめてオンラインでの活動を活発にしたいものです。

そんな意図で、少しでもこの「いっせい配信」というオンライン・イベントを活発にできればと思い、今回のエントリー本の紹介文を積極的に書いてみようと思いました。

 

2020/03/20                                                                                                                                                    

 <紹介>
「勝手に出しちゃうの何だか気がひけるな」「あら 着ない方がもっとかわいそうよ」

大学生になった砂羽は亡くなった祖母の家で一人暮らしをはじめる。その初日に彼女は着物姿の幼女を保護してしまう。しかし、翌朝起きると幼女は急成長。事態を砂羽が飲み込めないうちに志桜里と名乗るその女性は祖母の遺品の着物を押入れからひっぱり出すが…。

「女の子、桜、着物」を題材に現代を舞台にした和風プチファンタジー読切漫画。2015年3月コミケットスペッシャル6にて発行の冊子をリメイク電子書籍化。

<なかせ評>

作者の「着物」愛が前面に現れる掌篇。のんきな砂羽と凛々しい志桜里が姉妹のように和服人形のような姿ではしゃぐのが微笑ましい。

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カナリヤ

 

2020/03/21                                                                                                                                                    

 <紹介>

「お前さんは強い…きっと大丈夫だ」

切り株の根元で子供を拾った「大きな魔女」。彼女は子供を「レッサー(ちび)」と名付け、生きて行く為のあらゆる知識を伝授するが…。さえぐさ先生が30年あたためていた「ぴ〜とちび魔女」シリーズの2冊目にして第1話の前日譚。2019年6月のMGM2−26にて発行の合同誌「役に立たない魔女図鑑」よりピックアップして電子書籍化。

<なかせ評>

すべてのページが絵画のようで、すべてのコマがかわいらしい。短いページ数に「大きな魔女」がレッサーに注いだ愛情があふれんばかり詰まってます。

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ちっちゃな魔女と大きな魔女

2020/03/22                                                                                                                                                    

 <紹介>

「遠いところに住む君をすきになって 僕は二つの天気を気にするようになった」

恋愛する男女の心情を描いた作品を中心に綴る短編少女漫画集。1992年〜2001年のコミティア等で「突撃蝶々」より発行の同人誌に掲載の作品を4編収録。

<なかせ評>

遠距離恋愛の2人が雨傘と日傘を介して気持ちを共有する描写が甘酸っぱい。 4編とも商業誌ではなかなか見られないとりとめのないお話。 しかし、そのとりとめのなさこそが恋愛を真骨頂で少女漫画の王道ではないか。

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二つの天気

2020/03/23                                                                                                                                                    

<紹介>

「みたことのないものがいっぱいー」

家庭料理店「どんぐり亭」を営む姉妹マーリ&ココは街の広場で外国のスパイス市に遭遇する。

いわみゆうこさんの個人誌「雪待月シリーズ」に続く「銀花シリーズ」の2冊目。 「どんぐり亭シリーズ」の第17話「SPICY DAY」、カラーイラスト多数、うどん会参加のレポ漫「◯十年ぶりのたこあげ」「新春うどん打ち会」の2編を収録。2019年8月のコミケ96にて発行の冊子を電子書籍化。

<なかせ評>

猫耳姉妹のおだやかな日常漫画、作者本人のにぎやかなイベント参加記録、 そしてipadで描いたかわいらしいパステルカラーのイラストの数々。 作者が過ごす時間と空間にゆったり浸れる感覚で読める一冊。 買ったスパイスの袋を握りしめて目を輝かせているココがかわいい。

<蛇足>

作者の「似てない」と言われている自画像について…「自画像が本人より2割り増し」はよく見かけるが、いわみさんは「本人が自画像より2割り増し」で珍しい。

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銀花2

2020/03/24                                                                                                                                                    

<紹介>

「これが最後のチャンスなんです」

名門フラメル家に生まれたエルフの少女マドカは魔導錬金術の落ちこぼれ。 彼女は学位を得るための1年研修を受けに辺境に住むゴブリンの教員クロウリを訪ねるが。

知識と「エリクサー」があれば誰でも魔法を使える世界で繰り広げられるドタバタ・ファンタジー・コメディ。WEBで無料連載された第1〜5章に用語解説とおまけ漫画を多数加えた総集編の第1巻。2019年2月のCOMITIA127にて発行の冊子を電子書籍化。

<なかせ評>

誰もが「便利に使っている」が、ちゃんと「使いこなせている」人は少なく、「ちゃんと理解している」人はもっと少ない。 「現代のモバイルデバイス」のような技術として「魔導術」が描かれていて興味深い。 作り込まれた世界設定が物語に奥行きをあたえる。

マドカとクロウリの掛け合いが楽しい。 物語にどう絡んでくるかわからないフラメル家のメイドのアリスも妙に味のあるキャラ。 マドカが横着した結果クロウリの研究所を水浸しにする顛末はまさに「魔法使いの弟子」だ。

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初学者のための魔導錬金術入門【総集編 1】

 

2020/03/25                                                                                                                                                    

<紹介>

「どうして これに こだわるの」

10年間放置していたバイクを修理する男(こばこ)と作業に付き合う10年前の女友達(よほろ)の物語第3話。

エンジンが回るようにはなり、ついに こばこ は故障の要因だったパーツに手をつける。 しかし終焉を迎える修理作業に よほろ の心が揺れる。

 2020年2月のCOMITIA131にて発行の冊子にカラーイラストを2点加えて電子書籍化。

<なかせ評>

クセの強いのクロ僕さんの描画だが、このシリーズのバイクと女性の描写に魅かれる読者は多いはず。今回はよほろ視点が多いお話で色っぽいシーンも多いめ。初登場のこばこの父親もシブい。 こばこがパーツ修理につぎつぎ繰り出す技術がすごい。…「え?それで大丈夫なの?」と思う場面も多いが(^_^;)。

物語は大きなターニングポイントを迎え、この状況がどう決着するかが楽しみ。

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モペットを直す男3」

 

 

2020/03/26                                                                                                                                                    

<紹介>

「遥の何かが変わったのかもしれない。」

美術館で知り合ってから2年目の都(みやこ)と遥(はるか)もいまは高校3年生。 2人で訪れた「国境なき美術展」で近藤幸夫の絵に触れた瞬間の遥の異変に都が気づくが…。

人生の節目を迎えて揺れ動く2人。 高校生2人の「美術館デート」を描くシリーズの最終巻。近藤幸夫、小倉遊亀クロード・モネの絵にからめたエピソード漫画と画家紹介を収録。2018年10月の新潟コミティア50にて発行の冊子を電子書籍化。

<なかせ評>

小津端うめさんの描く少年少女たちは心がまっすぐで、かつ感受性が強いので読んでいて心地いい。 そしてこのシリーズは作者が実際に訪ねた美術展の印象に絡んで物語が進んで面白い。 最終巻とのことで、おしゃれな都の美術館賞用コーデがもう見られなくなるのがとても惜しい。

<蛇足>

自分でも描いてみて気づいたのですが「美術館で絵に対峙する人物たちのリアクションを描きながら、彼らをスタイリッシュに見せる」というのはかなり難解でした。そんなシリーズに挑んでいた うめさん に改めて敬服の念をいだいた次第でした。

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BEATITUDE Vol.4

 

2020/03/27                                                                                                                                                    

<紹介>

電車の発車と同時に体調を崩して車内で倒れる先輩。 しかし、ホームに取り残され心配する後輩たちにその先輩からメッセージが届く。

「どーだった?」

演劇部部長の須原あんみつ先輩はどんな状況をも演劇に活用する。 才色兼備で「日々是練習」が座右の銘の先輩が繰り広げるギャグ4コマ漫画。 2019年12月のコミケ97にて発行の冊子を電子書籍化。

<なかせ評>

軽い気持ちで読める一冊。先輩は遊んでいるようだが、ちゃんと演劇の実績につなげているのが驚き。2人の後輩部員…フォロー役の ちろる とツッコミ役 とるて の配置が絶妙。フォローはするが自身の演劇を恥ずかしがる ちろる がちょっとかわいい。(個人的には一番のツボ)

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あんみつ先輩は日々是練習!

 

2020/03/27                                                                                                                                                    

<紹介>

「えーと 『ふわふわタイム』って良かったよな 『けいおん!』の」

放火事件のショックで終業式を休んだ緋呂の家を同じ部活のナオちゃんが訪ねる。2019年7月京アニの事件に心を痛める軽音部員たちを描く「Stop You Sobbin’」。

2019年10月に銘柄が販売終了になるタバコの買い占めを企む二人を描く「ドライビング・サウスorノース」。

大学で入る部活を漫研とスキー部のどちらにするかを迷っていたら「宿命の巫女」に選択した先の未来を教えられる「1991」。(新潟コミティア50回記念本『米百俵』の寄稿漫画を再録)

3編を綴った短編漫画集。2019年11月のコミティア130にて発行の冊子を電子書籍化。

<なかせ評>

なかなか扱うのが難しい時事的題材や人生テーマを独自の切り口で鮮やか、かつコミカルにまとめる舞村マンガの真骨頂。リアルとフィクションのさじ加減が絶妙でキャラクターたちの息吹がダイレクトに伝わる。

特に「1991」は作者自身が辿った30年弱を要約した話のようで、同様の経歴を経て新潟コミティアに参加する読者(私だ私!)にとってはたまらない。

<蛇足>

タバコ銘柄の販売終了のニュースについて私は聞き及んでいたが、その後の顛末とカラクリについては舞村さんのこの漫画を知ってすごく驚いた。

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カーテンコール e.p.

 

2020/03/28                                                                                                                               

<紹介>

「今年も色々あったなー  … … … … … … …?」

年末にお風呂に入ったメガネさんは湯船に浸かりながら一年を振り返ろうとする。

メガネをかけた女の子の日常を描く「メガネさん」シリーズの読切短編。2019年12月のコミケ97にて発行のコピー本にイラストを加えて電子書籍化。漫画は眼鏡が曇って目が見えない同作の「地味眼鏡版」も収録。

<なかせ評>

漫画ストーりーは7ページ。全ページがお風呂に入っているメガネさんなので当然ハダカ。なのに別にエロくないし、指定は「健全」全年齢向け。

「メガネさん」の間の抜けたエピソードを描くシリーズの中でこの本は群を抜いて間抜け。さらに目の表示を消しただけで同じ内容の「地味眼鏡版」の収録で間抜けさがアップグレード。

<蛇足>

漫画内容があまりにも短すぎて、評をどう書いたらいいか逆に迷いました(^^;)

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お風呂のメガネさん

 

2020/03/29                                                                                                                                                    

<紹介>

「すみません!ホントすみません!」「ええ?なんで謝るんですかー!」

文具メーカーの人との会話で好きな製品の話をしたらいきなり謝られた。自分の一押しのこの製品はどうなるの?!

かつては文房具店員、一般企業事務職を経て現在はフリーランスの文房具ライター兼、主婦兼、同人作家の「あちこさん」。作者が日常や思い出のエピソードを4コマやショート漫画で綴るエッセイのシリーズ第5弾。家に導入したAIスピーカーGoogle Home Miniとの会話エピソード「ぐーぐるほーむみにと暮す日々」も収録。

コミケコミティアにて発行予定の冊子を電子書籍で先行配信。

<なかせ評>

なにげない日常や思い出の4コマ漫画。オチがない話や、謎が謎のままの話もありますが、むしろそれがリアルな日常体験を表出。全体を通して「あちこさん」の人柄の良さがにじみ出てほんわかと読めます。

紙版発行前に電子配信されたとのことですが、この先の同人イベント開催がどうなるかわからない状況なので、早くこの本を並べた藤村さんのスペースを訪ねられる状況になってほしい。

<蛇足>

「同人誌にしたら売れる!」と褒めたのに「同人誌なんて小さい。これは出版社に持ち込む」と返された話。…ううむ、こういう認識の人って確かに多いかな〜。同人なら読者の生の反応を見られたり、実は商業でやるよりロイヤリティが高いことがあまり評価されていないのが残念。その人のコンテンツは持ち込んだ出版社の何社目で拾ってもらえるか見たい。

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よんこままんが あちこさん 5巻

 

2020/03/30                                                                                                        

<紹介>

九歳の少女の八坂伊月が前世の記憶を取り戻すと前世の伴侶キリエが出現。 テイル・ナ・ノーグ総督で吸血鬼のキリエの強大な魔力と前世の異能を駆使できる身となった伊月。 彼女は八坂家が封じている「天使」をわがものとしようと考えるが。

少女と彼女を溺愛する強大な吸血鬼を取り巻き付喪神、仮想義体、自動人形が活躍する「いちゃラブ」ファンタジー活劇。WEB連載の長編小説「ろくでなしの花嫁とひとでなしの吸血鬼」の1〜25話を再編して電子書籍化。

<なかせ評>

主語がない記述や発言者を特定しづらいセリフが多く、何度も読み直さないと状況がつかめず、難渋します。でも、状況がわかると付喪神、自動人形、ウエラブル仮想端末等々が飛び交う世界観は魅力的。作者が好きなものを好きなだけ盛り込んで楽しんでいる小説だということがよくわかります。

<蛇足>

本当は「創作同人2020年3月」に出た3巻目をレビューしたかったのですが、1巻目を読むのに半日要してしまいました。(^^;) 襲が伊月の父親であることには1巻目の半ばまで気づかなかった(近所に住む馴れなれしい青年かと思った)。 表紙絵の少女はフリー素材を用いているようですが、これは伊月なのか?扶桑なのか?

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プライベイト・ヴァンパイア RE001-025

2020/03/31                                                                                                        

<紹介>

「ここは…天国よ」

気づくと僕は異様な場所で空を飛ぶ船に乗っていた。僕を含めて乗客全員が自分の名前も過去も思い出せない。 しかし、他の乗客たちは降りるべき場所に気づいて下船していく。取り残された僕だけが連れて行かれたのは強制労働場だった。

記憶を無くし異世界で目覚めた少年は徐々にその世界の現実を知る。SFテイストの長編ファンタジー漫画。2019年3月よりAmazon kindle unlimitedにて公開のWeb漫画。

<「創作同人2020年3月」参加の第2巻の展開>

「ギンガ」という自分の名を思い出した主人公は「反天府軍」に加わる。超常の能力を身につけて成長させていくギンガだが、彼の失敗で一同は窮地に陥る。

<なかせ評>

正統派な少年漫画。主人公の能力の向上とともにストーリーが動く展開は読んでいて気持ちが良い。2巻ではシルエットだけの登場で、いずれ仲間となると思われるキャラたちの正体と来歴が気になる。

<蛇足>

作り込まれた世界設定はまだまだ謎に満ちているが、この本の作家さん自身もまた謎である。1冊が100ページ以上のこの作品を年1冊単位でAmazonに出している以外の活動は一切つかめない。どういうモチベーションでこの大作を描き続けているのか興味津々。

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MYMYTH ーマイミスー

2020/04/01                                                                                                        

 <紹介>

「親父の治めるこの町で勝手は許さない」

河童頭領「イワナ」の娘「ヤマメ」は父に代わり縄張りの治安を守る。くたびれた人間が尻子玉を変容させた「悪玉」を回収する一方で、真人間の健康な尻子玉を奪うヨソ者の河童を成敗する。そこにイワナを負かせて皿に変えた天狗が現れるが…。

現代を生きるJK河童とその一家の斗争を描く奇談任侠マンガ。Lineマンガにて連載された全20話を収録。

<なかせ評>

河童たちの設定紹介から因縁の戦いへと物語は無駄なくスムーズに進み、とても読み易い。任侠映画さながらの人物たちの言動は板に付いていて、この「現代妖怪」設定と違和感がない。バトルシーンもわかりやすくかっこいい一方で繰り出される技や武器の名称や解説が笑いを誘う。

数多くの短編でもっぱら散文的に「河童」を描いてきた斉所さんだが(本人の自画像も河童)、この一冊はストーリー完成度が高い。自主出版でこのレベルのものを描く人がいることをもっと多くの人に知ってもらいたい。

<蛇足>

ゴキの部下の姉弟コンビがかわいいのにあっけなくやられてしまって惜しい。この2人がなぜゴキを慕うようになって、その後どうなったかがとても知りたい。(一応、工事現場で働いているようだが)

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河童渡世 完全版

 

2020/04/02                                                                                                        

<紹介>

「人間も家畜の一種だからね」

死刑宣告を受けた涼子。問題の鍵となる者に会いに「種の改良事業団」が支配する惑星スカラブラエにリカオンとともに降り立つ。移動中2人は屠殺場に向かう牛たち(事業団が造った食用人種)としばらく行動をともにするが…。

「無限工作社」の謎を追い宇宙を駆けるジャーナリスト鎹涼子を描く長編ハードSFシリーズ第?編。 2019年8月のコミティア129にて発行の冊子を電子書籍化。

<なかせ評>

世界設定とストーリー全体像を掴むのが難解な八木さんのSF作品ですが、奇異なシチュエーション展開とアクティブでダイナミックな描画でパラパラと拾い読むだけでも楽しめます。今回は自らの役割をおだやかに「常識」として受け入れる牛たちの話が面白くて読み込めました。また涼子とリカオンがほぼむき出し状態で大気圏突入するシーンがさりげなく描かれながらも迫力。

<蛇足>

実は結構前からこのシリーズの全体の流れから置いてきぼりを喰らいながら読み続けていた私(^^;)。同じく今回「いっせい配信」で出された2月コミティア本の「人類圏事始」(あらすじ本)にかなり救われました。この本おかげでこの紹介文も書けました。

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惑星スカラブラエ

 

2020/04/03                                                                                                        

<紹介>

「東西電磁内紛の頃は兵隊も商人も多くて港も栄えてたんですけどナ」

未来の戦後のほこりにまみれたヤミ市や酒場。そこでは無法者や浮浪児や底辺労働者たちが泥臭い日常を過ごす。

2015〜2016年にかけてコミティアにて発表の漫画5編を収録した「架空戦後未来漫画短編集」電子版。

<なかせ評>

太めの描線の丸っこく親しみやすい絵柄で描かれた不景気で半ばスラムと化した未来世界。 しかし、登場人物たちは妙に生命感にあふれてその世界で生き抜き、クダを巻いている。 ストーリー展開はどれも突拍子もないがなぜか納得が行って小気味良い。

<蛇足>

個人的には「中央政府標準時午後十時」でハンターたちに狩られるゾンビたちの設定が好き。 意表を突くオチもよい。

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酔酒場愚陀愚駄咄

 

2020/04/04                                                                                                        

<紹介>

「再び症状が悪化して休職することになりました」

カウンセラーの勧めで自らの鬱についてまとめた前作の「鬱病休職の日々」。病状はよくなって仕事に復帰したものの再発したので、描かれたのが今回の続編。

再発した鬱症状の起伏、その日々の中で振り返る作者自身の話、大学時代に亡くなった作者の友人の話などを綴った日記的漫画。 2019年8月のコミティア129にて発行の冊子を電子書籍化。

<なかせ評>

再発して、前より輪をかけて厄介な鬱症状。治療には自分が思いを吐露するのが大事で、この漫画を描くことは作者自身にとって有益。また、読む側にとっても「鬱病」とはこういう病気なのだとわかり、同じ悩みを抱える人にも、そうでない人にも有益。 簡素で線が荒い描画だが、返ってその方が作者の素直な心情がダイレクトに伝わる良作。

<蛇足>

作者の心情には起伏がありながらも、全般的にポジティブなので読み勝手がいい。前作も今作も多くの人にとって役に立つ内容だと思う。「いっせい配信企画」がこの本を世に広める一翼を担えているとするならとても嬉しい。

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鬱病休職の日々ーセカンドシーズン

 

2020/04/05                                                                                                        

<紹介>

「幸せな人にイタズラするから面白いんじゃないかー」

イタズラ好きな怪獣の斎藤さん、ポンポコ遊びに興じるタヌキたち、ルーコを殺しにきた未来人、奇妙な足音を奏でる足音奏者、人生を謳歌する幽霊ちゃん、砂漠の民のスジャータ、出来立てホヤホヤのモチの神様、万病に効く油の壺を運ぶ油人たち、地球人に勝ちに来た宇宙人、呪いのネコスーツを着てしまったイサハヤさん。様々な者と魔法使いルーコは出会い、語らい、そして考える。(時には何も考えない。)

フルカラーで各エピソードを11本の4コマ漫画&1枚イラストで構成したマンガボックス、ジャンプルーキー等にて連載のweb漫画シリーズのまとめ本の第8巻。ルーコが師匠のハープスに「時間」について問う書き下ろし短編モノクロ漫画も収録。日本語版と英訳版を合本。

<なかせ評>

内海さんのカラーリングはポップで、セリフやコマ運びはリズミカル。「漫画」と呼ぶより「アート」と呼びたい仕上がりですが、単純に「漫画」として読んでも愉快で、哲学的でもあり奥深い。高い評価を得るべき作品だと思います。

<蛇足>

スジャータのランプの内装が「かわいい魔女ジニー」みたいだったのが個人的にツボ。

英訳の部分は「ギリギリ通じるか?」と思われる訳も多いものの、なにぶんページ数が多いので一つ一つ指摘するのは困難(^^;)。ちゃんと英訳すれば英語圏でヒットする可能性も高い作品なので、真剣に英語校閲に乗りだそうかとも考えました(一応私は帰国子女)。とりあえず「うっそだー」の訳は「It’s a lie」より「You’re kidding」とした方がいいと思う。

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魔法使いのお時間よ 8: 未来の場所

 

2020/04/06                                                                                                        

 <紹介>

「オレに宿った右足の一馬力!これからは人間を厄災から守るために使う!!」

右足が蹄のアオ(蒼前様)は農耕馬を守護する女神。しかし、農業機械化の波で馬神信仰が衰える中、アオは村の守り神への転身を図る。修行の旅に出て60年後の現代(2014年)、アオは鍛冶の神のヒトツメを引き連れて村に戻るが。

神道・土着信仰・民俗学をベースとして秋田を舞台に描かれる神と妖のバトル漫画。 2016年より作者のブログにて隔週〜月刊ペースで連載のフルカラー長編ストーリー。 第1巻には第1話〜7話及び連載中に寄せられたブログコメントへの作者コメンタリーを収録。

<なかせ評>

「第12回いっせい配信」参加の最新の第13巻には2018年12月〜19年5月に発表の94〜100話を収録。そして現在の最新話は第109話。

…すみません、短期間ではこの内容の全貌を把握しきれず、かなり見切りでこの紹介を書いています(^^;)。ただ、細かい設定説明を丁寧に織り交ぜながらストーリーが進行するので内容はとても理解しやすい。

この作品の作者さんはどんどん描くことで徐々に力をつけて行こうという姿勢のようですが、その通りに連載中にすごく画力をつけていったことがよくわかります。13巻のキャッチーな表紙絵を見てください!

文句なしの「大作」で自主制作漫画を語る上では知らずに通れない「力作」です。

<蛇足>

この作者は一度描いたプロトタイプを2016年にリブートして書き直している模様。(プロトタイプは現在、無料配信されています)。新版の連載はLineマンガインディーズやKindle無料マンガを含めて様々な漫画投稿サイトにも展開の上、総集編はAmazon楽天KOBO、BOOTHにて自主配信しさらにマンガハックPerryを通じて多数のストアへ配信を広げています。様々な試みに積極的に挑んでられる姿勢がよくわかり、頭が下がります。

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神様セカンドライフ

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まとめ

以上で今回の「第12回いっせい配信」 に参加の作家さん全員の(1人につき1作ずつですが)作品レビューを書かせていただきました。非常にバリエーション豊かなラインアップであることがお分かりいただけると思います。
ちなみに、レビュー中の<紹介>の部分には、それぞれの本の電子書籍ストアでの「内容説明」の文章を「私ならこういう書く」と思った内容で書かせていただきました。どう書くのが「正解」というものでもないですが、書きようで本の売れ行きを大変左右することは確か。私の書いた文案を一案として皆さまの今後の配信活動のご参考にしていただければ、と思います。

 

第12回いっせい配信企画「創作同人2020年3月」

第12回いっせい配信

2020年3月20日春分の日)に第12回目の創作同人電子書籍の「いっせい配信企画」=「創作同人2020年3月」が実施されます。この企画は配信する電子書籍ストアを問わず、作品を自主配信してる作家さんが配信日を揃えて、配信情報を互いに広め合うオンラインのイベントです。

 

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   配信日にあわせて現時点で19人の作家さんによる32作品の予約購入および購入用チェック(お気に入り指定)が可能です。  

 

 

 

今回ははじめて「丸岡九蔵長屋」の丸岡九蔵さんに「いっせい配信」企画へのご参加をいただきました。隙間なく画面を覆い尽くす描画の漫画は要チェックです。

 

「まるかふぇ電書」の新刊は6冊

私(なかせよしみ)と砂虫さんの本を配信している「まるかふぇ電書」は今回も6冊の本を配信します。

著者
砂虫 隼
 
発行年月日
電書:2020年3月20日
紙書:2020年2月9日
 
内容:24P
価格:100円
容量:5.3MB
 
 
「にんげーん ぱたぱたのつづきまーだー?(ぷふー)」 

にんげんはねこに振り回され、ねこをあまやかす。 生き物との暮らしはとても楽しく幸せです。 ねこ暮らしを数々詰め込んだテーマ・エッセイ漫画。 2020年2月のCOMITIA131にて「乱痴気事虫所」より発行の自主出版誌を電子書籍化。 第12回いっせい配信企画「創作同人2020年3月」参加作品。

著者
砂虫 隼
 
発行年月日
電書:2020年3月20日
紙書:2019年11月24日
 
内容:25P
価格:100円
容量:6.3MB
 
 
「一緒にどこかへ遊びにいきたいよねー」「おしゃべりしまくりたーい!」 

平日のお昼くらいに鎌倉駅でまち合わせ。 初夏の鎌倉をすずめ(友だち)とぶらぶらさまよう。 同行する友人をスズメとして描く「擬チュン化」キャラとの漫画1日旅行記。 2019年11月のCOMITIA130にて「乱痴気事虫所」より発行の自主出版誌を電子書籍化。 第12回いっせい配信企画「創作同人2020年3月」参加作品。

著者
砂虫 隼
 
発行年月日
電書:2020年3月20日
紙書:2007年5月5日
 
内容:24P
価格:100円
容量:6.1MB
 
 
「この世から消えてしまえなんて思ってた自分が今は怖い」 

侏儒を恐れながらも彼らと関わろうと思う鈴子。 しかし、それは覚悟が必要な決心だった。 鈴子は春華と公平、そして侏儒たちを取り巻く現実を知る。 異形の人々や魔法が入り混じった日常空間で展開する長編ファンタジーの第15話。 1997年から現在も執筆中の漫画シリーズ。 2007年5月のCOMITIA80にて「乱痴気事虫所」より発行の自主出版誌を電子書籍化。 第12回いっせい配信「創作同人2020年3月」参加作品。

著者
 
発行年月日
電書:2020年3月20日
紙書:2020年2月9日
 
内容:16P
価格:100円
容量:5.6MB
 
 
「気づくとワルキューレが剣先を向けていた」 

桐森博士の発明品で他者の「敵対心」が見えるようになった。 りるはクラスメイトが自分に向ける敵意の刃が気になるが。 気のいい狂科学者と少女が織り成すSFコメディ漫画短編シリーズの第2巻。 2020年2月9日のCOMITIA131にて「まるちぷるCAFE」より発行の自費出版誌。 第12回いっせい配信企画「創作同人2020年3月」参加作品。

著者
 
発行年月日
電書:2020年3月20日
紙書:2019年12月30日
 
内容:32P
価格:100円
容量:7.5MB
 
 
「大人の男女だよ?そういう関係ってエロくない?」 

街中で美晴をみかけた教え子の住吉は美晴と一緒にいた男との関係が気になる。 一方、美晴の「漫画表現」の授業では漫画制作の実践がはじまった。 新人漫画家と高校の教師を兼ねる響美晴が展開するコメディ漫画シリーズ。 「ひびきみはるの漫画講座」第7講(漫画の「価値」と「お金」)も収録。 2019年12月のコミケット97にて「まるちぷるCAFE」より発行の自費出版誌を電子書籍化。 第12回いっせい配信企画「創作同人2020年3月」参加作品。

著者
 
発行年月日
電書:2020年3月20日
紙書:2019年11月24日
 
内容:41P
価格:100円
容量:9.6MB
 
 
「中に誰かいるって、多分ねこかなにかじゃ… きゃ!!」 

わずらわしい日常を過ごす少女たちは河原の箱で暮らす浮浪少女と出会う。 本能のまま生きる幼女怪盗(?)が少女たちに見せたものは…。 自由気ままに生きるボニーを描く「怪盗ボニー」シリーズの第2巻。 2019年11月のCOMITIA130にて「まるちぷるCAFE」より発行の自費出版誌。 第12回いっせい配信企画「創作同人2020年3月」参加作品。

 「ねこと暮らすにんげん」は猫を飼っている人の多くが思い当たるエピソード満載、飼ったことがない人も飼った気分がわかる一冊です。「竜飼い」は春香と公平のハードな子供時代のエピソード紹介から目を離せない展開へ。

「夢見が丘のりる」第2巻の「明日菜の頭上のワルキューレ」は本文をカラー化、「怪盗ボニー」第2巻の「ボニーin the Sky」は加筆で、紙書籍で入手した読者さんも一味違う作品をお楽しみいただけます。

 

 配信ストアについて

「まるかふぇ電書」の配信ストアは今回も前回に比べて2ストア追加され(「デジケット」「とらのあな」)、全部で11ストアです。

とらのあな」は作品を購入してもオンラインを保った状態でしか読めないという仕様で、果たしてこれを電子書籍と呼んでいいものかどうか悩みました。ただ、同人誌販売に関しては誰でも知るストアであり、自主制作とは親和性が高い配信先なので活用することにしました。

3月20日の時点では「デジケット」「とらのあな」に、これまで私(なかせよしみ)が電子書籍配信してきた全作品、及び砂虫さんの「竜飼い」シリーズが揃っています。そして、その後は4月の中ごろまでに砂虫さんの電子書籍配信作品も全て登録される予定です。

 

異変に強いオンラインイベント

今回の「いっせい配信企画」の開催について特筆すべきと思うのは現在の社会情勢。

1月の後半から世界的な感染拡大の兆候を見せていた新型コロナウイルス(cordiv−19)が2月には日本にも上陸、3月より小中高が休校となり、大人数を集めるイベントの自粛要請が出されました。同人イベントも2月〜3月にかけてが中止や延期がが相次ぎ、5月に開催予定のコミケを含めて今後のイベントの開催が不透明となっています。

ただでさえオリンピック前にイベント主催側の会場確保が難しい中で、自主制作の作家さんは活動が難しい状況になっています。

ただ、そんな中で「いっせい配信」の企画は呆れるほど通常通りです。いつものように参加作家数がわずか二桁の小規模な「イベント」ですが、なんら問題なく通常営業で今回も多彩な作品が集まりました。

 

「社会状況」や「イベント当日の天候」「会場の状態」また「参加作家の当日の体調」などに左右されず開催&参加できる「オンラインのイベント」がより多くの方々につたわればと思う次第です。

 

 

 

第11回いっせい配信企画「創作同人2019年11月」

第11回いっせい配信

11月3日(文化の日)に第11回目の創作同人電子書籍の「いっせい配信企画」=「創作同人2019年11月」が実施されます。この企画は配信する電子書籍ストアを問わず、作品を自主配信してる作家さんが配信日を揃えて、配信情報を互いに広め合うオンラインのイベントです。

https://pbs.twimg.com/media/ECsgFgjUcAAae9B?format=jpg&name=900x900

 配信日にあわせて現時点で18人の作家さんによる25作品の予約購入および購入用チェック(お気に入り指定)が可能です。 

「まるかふぇ電書」の新刊は5冊

私(なかせよしみ)と砂虫さんの本を配信している「まるかふぇ電書」は今回あわせで5冊の本を配信します。

前回からの変化
前回の第10回いっせい配信が実施された7月には電子書籍ストアの「パブー」が閉鎖されるという情報があり、それにあわせて「まるかふぇ電書」も配信先の表示からパブーを減らし、代わりにDLSiteとBOOTHでの配信を増やしました。

その後「パブー」は別の会社が買い取って存続されることがきまり、さらにその後FANZAMelonbooksでの配信を増やしたのが今回です。ただ、実は砂虫さんの本については現在FANZAMelonbooksへの配信を増やしている途中で(1日1冊ずつ増やしていく方がストア内でのアピール力があがります)、「もぐもぐ」シリーズは11月3日まで全冊揃いますが、「竜飼い」シリーズのそちらでの配信にはもうしばらくかかりそうです。

多数ストアでの配信

「9つものストアに配信するのは大変な手間ではないか?」とお思いの人もいると思いますが、実は配信登録自体はそれほど大変ではありません。それぞれのストアで1〜2回、登録作業をすれば必要なデータのフォーマットや登録画面に書き込むべき情報はわかるので、あらかじめそれを用意すれば登録画面が指示する順に「アップロード」したり「カット&ペースト」したりで、ほとんど頭を使わずにできます。
むしろ、大変なのは登録した結果の情報管理。私の場合はその情報を以下の5種類のサイトとこのブログに掲載しているので、実は本日は1日その登録作業に費やされました。

いずれも配信情報の広報には必要なページながらかなりの作業量になってしまうので、こういう行事は年3度のくらいに止めてるくらいが賢明なのかもしれません。

電子書籍自主配信の動向

実は今回配信する「創作同人電子書籍のススメ2019」はKindleのインディーズ無料マンガに関する情報がいろいろ変化があり、当初は8月のコミティアで発行したものに大きく手を加える予定でした。

しかし、その後もいろいろ変遷があり、完全なアップツーデートの情報に修正するのは大掛かりになりすぎたため、本書は「現時点で嘘がない」レベルに訂正をとどめました。(まだ在庫がある紙本については訂正情報ペーパーを添付して販売しています。)

現在も状況が変わりつつあり、「電子書籍自主配信の現状」について来年の早い時期にまた一冊まとめ本を出したいと思っています。

 

 

第10回いっせい配信企画「創作同人2019年7月」

10回目の開催

また電子書籍の配信告知ですが、7月15日(海の日)に創作同人電子書籍の第10回いっせい配信企画「創作同人2019年7月」が実施されます。この企画は作品を出版社は通さず作家さん自身が主体となって電子書籍を配信する際、必要な広報活動を企画参加作家全員で補助しあい、拡散力を高めることが目的のオンラインイベントです。  

電子書籍をどのストアに配信するかは各々の作家さんの自由。今回も多くの作家さんがBOOK☆WALKERAmazon Kindle楽天KoboApple iBooksDlsiteメロンブックスPixiv BOOTHその他の電子書籍ストアで配信開始されます。 

https://pbs.twimg.com/media/D1-JuM-UgAAgI0A.jpg

第10回は上記の「看板娘(きんどるちゃん)」のイラストでチラシをカラー印刷し、MGM2.0、名古屋コミティア、東京コミティア、関西コミティア、北海道コミティア、新潟コミティアのチラシ置き場などに置かせていただきました。

 現時点では24人の作家さんによる39作品が企画あわせで配信手続きがされすでに予約購入が可能です。 

 

 

「まるかふぇ電書」の本

うちの「まるかふぇ電書」からは5冊の本が7月15日に「創作同人2019年7月」エントリーで配信されます。

 以前より用いていた電子書籍ストア「ぱぶー」が9月に閉鎖なので、今回より配信先にBOOTHとDLsiteを加えました。

ただ、実は不慣れでDLsiteでは砂虫さんの「となりのひと」の登録を失敗し、書籍が7月6日に販売されてしまいました。6名ほどの読者が購入しましたが、誤りに気付いて私はあわてて配信を停止、15日に再開されるように手配しました。

そんなわけで、「となりのひと」については現在DLsiteのボタンを押しても「データはありません」のエラー画面しか出ません。でも、7月15日からはそのボタンのリンクがDLsite内の販売ページにつながりますので、そちらで購入予定の方は当日までお待ち下さい。

 

最近の電子書籍「自主配信」状況

BOOK☆WALKERの新機能

以前よりBOOK☆WALKERは「いっせい配信企画」と密に連携をとってくださってます。先日、新たに「イベントタグの自動追加機能」が使用できるようになりましたが、ありがたいことにイベントリストに「いっせい配信」入れていただきました。「第10回」からは作品登録時にラジオボタンを選択すると「創作同人2019年7月」のタグが自動的に添付されます。

https://pbs.twimg.com/media/D7Je4grU0AAnwwc.jpg

 ただ、企画参加する際のルールとして「タグをつける」以外に「内容説明」に『「創作同人2019年7月」参加作品』の表記を入れる必要もあるので、この機能には頼りすぎないよう注意ねがいます。

 

BOOTHで「予約販売」の画面を出す裏技

多くの電子書籍ストアでは書籍の配信開始前の商品を紹介し、本に興味を持った読者は先に代金を払って(あるいは払う手続きを済ませておいて)配信日に作品を入手できる「予約販売」の機能を持っています。

BOOTHは配信登録すればすぐ販売が開始されるストアです。しかし、実は裏技として「予約販売」を出すことができます。これは以前、私が「ぱぶー」で使っていた裏技でしたが…配信日前は「サンプルページ」のみが含まれたデータしか登録しない、という方法です。

配信日の当日に登録されているデータを本来売るものに差し替えればOK。配信日前にサンプルを買った人も自動的に配信日以降は完成したデータを入手できるようになります。もちろん、買う側にそういう意図の販売であることを伝える必要があるので、BOOTHの登録時には↓このような記述を加えます。

https://pbs.twimg.com/media/D-sePE9UYAI3Hfq.jpg

そうすればBOOTH画面はこのような↓表示になり、買う側も理解するはずです。

 

https://pbs.twimg.com/media/D-seOCVUwAAlxOw.jpg

 

この「予約販売」登録を早い目に済ましておけば、配信当日は「注意書き」を消去して登録ファイルを差し替えるだけなので、大変お手軽です。

 

「インディーズ無料マンガ」の分担金はいつまで?

2月の中旬に「Kindleインディーズ無料マンガ」に2019年分の基金を5000万円の基金を用意して毎月500万円分配をアナウンスしたamazonですが、6月に基金を6500万円に分配金を600万円分配に増額したと再びアナウンス。さしあたって2019年の12月頃までは分配がつづく見通しとなりました。

もともとAmazonKindle電子書籍の配信事業のトップランナー。作品の自主配信をする作家さんにとっても無視できないストアでした。ただ、まずストアごとに「売れる本」と「売れない本」が若干違うものの、実際に売ってみないことにはわからない。なので、どんな本もなるべくいろんなストアで売りたいものです。

でも、Kindleで専売をする場合はロイヤリティは70%、他ストアとの併売なら35%と大きな開きがあります。加えて、Kindle専売の本は読者が毎月定額を払えば好きなだけ読み放題のUnlimitedに参入することもでき、読まれた時に基金から支払われる講読料の収入もある。作品をKindle専売にするか他のストアとの併売にするかは自主配信の作家にとっては大きな悩みどころでした。しかし、昨年7月に「Kindle インディーズ無料マンガ」が登場して、状況が一変しました。

「インディーズ無料マンガ」はUnlimitedの定額利用者に限らず、すべての読者にも「読み放題」です。作品が読まれると、Kindle側がUnlimitedとは別枠で用意した基金から分配金が出ます。その金額は目下のところ、その作品が有料の電子書籍を販売した際に得られるロイヤリティ以上。しかも、 「インディーズ無料マンガ」には専売規定はないので、他のストアで配信してもOK。

もし、作家さんがなにか電子書籍化できる適切なコンテンツを持っていて、なるべく早く収益を得たい場合は、Kindleに有料販売で販売登録するよりは「無料マンガ」に登録し、同時に他のストアにも有料で登録するのがいまは一番おすすめな配信の形になっています。

ただし、基金からの分配はいつまで続くかの保障はなく、「インディーズ無料マンガ」に一度登録した作品はその後Kindle内では「有料販売」に登録できないという規定があります。実際に作品を登録する際は先々のことまで検討しておく方がいいかもしれません。

また、もう一点注意すべきなのは配信の際のタイムスタンプです。無料マンガでのは登録はストア表示されるまで72時間かかると注意書きが出ますが、ほぼ即日配信になります。ただ、なぜかタイムスタンプはアメリカ時間で表示され、日本での配信日が1日前になることが多いようです。

「いっせい配信」企画は配信日から1〜2日の誤差内での配信はOKですが、特定の日付で配信したい場合はコントロールが難しいの注意が必要です。