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漫画家「なかせよしみ」がちょっとまとまった文章を公開するためのブログ

第21回いっせい配信企画「創作同人2023年3月」

第21回いっせい配信

2023年3月21日(春分の日)に創作同人電子書籍の第20回「いっせい配信企画」=イベント名「創作同人2023年3月」が実施されています。この企画は配信する電子書籍ストアを問わず、作品を自主配信してる作家さんが配信日を揃えて、配信情報を互いに広め合うオンラインのイベントです。

 

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本日3月21日の午前の現時点で10人の作家さんによる11作品がエントリーしています。

 

「いっせい配信」企画は配信日より1〜2日の誤差内の期間(3月19日〜23日)は随時「飛び入り」可能です。まだ「電子書籍ストア」「電子データDLストア」で配信されていない自作のオリジナル作品があれば参加費無料、事前申請不要、「漫画」「小説」「イラスト集」「全年齢向け」「成人向け」等々のジャンルは不問なので、興味のある作家さんは企画サイトをご覧ください。

「まるかふぇ電書」の新刊は…

私(なかせよしみ)と砂虫さんの本を配信する「まるかふぇ電書」はあわせて以下の4冊の本が配信開始です。

砂虫さんの最新の本は先月の2月開催Comitiaの公式カタログ「ティアズマガジン」誌上での作家持ち回り漫画コラム「東京・好奇心・散歩」の執筆依頼が来て、その題材で「いちご狩り」に行ったこと機に「いちご」についてまとめたエッセイ漫画です。これまでテーマごとに食べ物について描いてきた「もぐもぐ」シリーズとはちがい、特定の食材に絞って語る形となったので、「『もぐもぐ』姉妹版」というシリーズ名の「第一弾」としました。
「竜飼い」シリーズの24話は、フォースの術の謎を探りに宗一郎たちが父親の墓所を訪ねに行くエピソード。半月村が術を仕掛けてその行く手を阻み、物語はさながら「冒険クエスト」の様相を呈します。また一方では、宗一郎と「竜」との関わりや、公平の札師として開眼など、新たな面が表出される回でもあります。

私の方の新作も2点で、一つは昨年末のコミケで発行した「科学部部長のエリカさん」の「外伝」と銘打ってる読み切り短編のSF漫画。一つの発明品の発達が現代社会の中でたどる経緯を描いたお話です。
もう一つは砂虫さんの「竜飼い」シリーズについて私がまとめた「解説漫画」…つまりガイドブックです。今年の1〜2月にツイッターに投稿した連作を2月のコミティアで1冊の「コピー本」としてまとめまて、それを電子書籍化したものです。「竜飼い」シリーズを未見の読者のみならず、これまでシリーズを購読されてきた読者も、物語内世界をより深く理解できる一助になるだろうと手前味噌ながら思う一冊です。

配信ストアの拡大

うちの書籍の配信先については、お気づきかもしれませんが、
これまで作家が直にデータ登録することで作品配信できるところ以外のストアにも手を広げました。これは「配信代行業者」として活動しているBookLiveの「BLIC出版」の力を借りたものですが、あいにく4冊中の「いちごばたけでもぐもぐ」と「竜飼いの読み方教えます」しかBLIC経由での「3月21日配信」のスケジュールに載せることができませんでした。しかし、最終的には4冊すべてが全部で125のストアでの配信される予定です。

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実は「配信代行業者」の利用については以前より興味を持っていたのですが、Kindle等には自分の手で直に配信するほうがいろいろ都合がよいので、そちらとの兼ね合わせに頭を悩ませていました。
代行業者で最も活発に活動されている「ナンバーナイン」にも一度問い合わせたのですが、「特定のストアでの配信を除外するには、そのストアへの『取次ぎ』を他のストアを含めて除外をする必要がある」との回答でした。
ところが昨年の9月のコミティアで「BLIC出版では個々のストアごとに除外指定した上で配信代行がお願いできる」という情報を入手。(実は「最近のナンバーナインもそういう体制に変わった」という話を一昨日MGMで知りましたが…)
それが可能なら、いま配信している電子書籍もすべてそのまま配信先ストア数の拡大ができる。それをやって損なことは何一つないわけで、その9月のコミティアの会場でさっそくBLIC出版とコンタクトをとり、話をすすめました。

その結果、うちの電子書籍のBLIC出版配信は10月の末からはじまり、

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11月半ばから毎週7作品ずつのペースですすみ、明けて今年の昨日3月20日には成人向けの4作品を除いて、私と砂虫さんが電子化した全作品が日本の主だった電子ストアのほぼ全てで見られるようになりました。

残った「成人向けの4作品」については、BLIC側との調整で少し時間がかかりますが同様に配信拡大予定です。そこらの話を含めて今回の配信拡大については今年中に「創作同人電子書籍のススメ」のシリーズでまとめてレポートしたいと思いますので、詳しい話はしばらくお待ちください。

電子自主配信と自主出版にまつわる昨今

このところ毎回このブログに記してます「Kindle無料マンガ(インディーズマンガ)」の分配金の話ですが、昨年夏に臨時に一月2000万円の分配がアナウンスされて以来「月額2000万円」が頻発されるようになり、今年に入ってからは「2200万円」や「2500万円」といった数字が天井知らずの登り調子のように聞こえてきます。
以前から私はこの「分配金」を「出所不明な」と述べていましたが、実はこれはamazonアフリエイトプログラムの一環とみなすことで捻出されているお金だと…うすうす気づいていました。
とはいえ、「いくら捻出されるか、いつまでやるか」はアマゾン自身も公言してはばからないように「アマゾンの胸先三寸で決まる仕組み」であり、また総額が大金でもその恩恵に預かれる作家とそうでない作家の落差は大きい。「大金獲得を夢見て挑戦したい」あるいは「収入は得られなくてもなるべく多くの読者に読んでもらいたい」という作家さんでない場合は、諸手をあげてのおすすめができる配信システムではない、…といった評価はいまも続く状況です。

ちなみに、アマゾンは最近「縦スクロール漫画」専用のページ「Fliptoon」というものをはじめましたが、

「縦スクロースなら『FLIP(めくる動作)』はしないから、名前をつけるならむしろ『scrolltoon』じゃないの?」…というツッコミはともかく、
どうやらアマゾンは「日本漫画での流行なら「なんでも取り入れる!」という姿勢にあって、そのうち「ボイスコミック」もやりかねないなぁ〜、などと想像する次第です。

一方で、同人誌イベントの方の昨今ですが…
コロナの影響をうけて規模が縮小した会場イベントにあわせ、出品側としては持ち込み部数を絞っての参加を心がけてはいるものの、
昨年末のコミケでの売り数はその絞った数字を大幅に下回りました。ところが逆に今年2月のコミティアでは予想を大きく超えたものの、まだまだコロナ前には届かず。
まだまだ読みにくい状況が続く中で、来たる5月にコロナの感染症分類が5類移行するのに合間って、まだしばらく見通しがつきにくい期間が続くと思われます。