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漫画家「なかせよしみ」がちょっとまとまった文章を公開するためのブログ

第18回いっせい配信企画「創作同人2022年3月」

第18回いっせい配信

2022年3月21日春分の日)に創作同人電子書籍の第18回「いっせい配信企画」=イベント名「創作同人2022年3月」が実施されています。この企画は配信する電子書籍ストアを問わず、作品を自主配信してる作家さんが配信日を揃えて、配信情報を互いに広め合うオンラインのイベントです。

 

https://64.media.tumblr.com/8c9296f0dfc322aaa669c48c67dd3677/d37429860dc88c5e-4b/s540x810/19c83dada0cda113209dc30bbab654314452f5fb.png

本日3月19日の現時点で9人の作家さんによる10作品がエントリーしています。

「いっせい配信」企画は配信日より1〜2日の誤差内の期間(3月19日〜23日)は随時「飛び入り」可能です。まだ電子配信されていない自作のオリジナル作品があれば参加費無料、事前申請不要、「漫画」「小説」「イラスト集」「全年齢向け」「成人向け」等々のジャンルは不問なので、興味のある作家さんは企画サイトをご覧ください。 

「まるかふぇ電書」の新刊は3冊

私(なかせよしみ)と砂虫さんの本を配信する「まるかふぇ電書」は今回計3冊の本を配信します。

「竜飼い」シリーズの21巻目はアクション編。19巻でファーストが仕掛けたトラップと対峙する宗一郎。ファーストの目をあざむきながら自動追尾する触手とのバトル。助太刀する公平やサードたちにもご注目ください。

私は新作の描き下ろしは「吾妻こはる」シリーズの3作目。日常の中のエロチズムを追求するシリーズですが、今回はちょっと変わった趣向で主人公たちの「日常」を切り取ってみました。どのような趣向かは言葉で説明するより、サンプルページを開けば一目瞭然かと思います。

また10年前に紙版を発行した「スカイツリー本」を、電子書籍化しました。この本は創作同人漫画即売会コミティアのイベントカタログ「ティアズマガジン」誌上の作家持ち回り企画「東京好奇心・散歩」の執筆依頼を私が受けた時の取材の副産物。
実はその「東京好奇心・散歩」掲載の号のティアズマガジン101」がBOOTHの「COMITIA公式ショップ」で配信されているのに気付き、「そういえばこの本の電子書籍化がまだだった!」…と今回出すことにしたのでした。

comitia.booth.pm
余談ながらこの本は紙版発行当時、アキバBLOGでも紹介いただきました。今回の電子化で本の書誌説明を考える際には迷わずこのブログ記事のタイトルに使われた作中文を採用しました。

blog.livedoor.jp

 

成人向け作品の模索

昨年よりのDLsiteやFANZA等の「同人ダウンロード」系サイトの読者層を主なターゲットに手がけています「成人向け」作品。
前々回の7月は「成人向け」需要に明らかに達してなかった第1作で足りない要素を思いつくかぎり盛り込んで第2作を前回の11月に配信。その甲斐あって、2作目は1作目より好調な売れ行きで、逆に1作目の売り上げにもつながりました。今回の本は更に2作目でも「足りない」部分を考えた3作目の配信ですが…

実は成人向けのエロを描く際には、「陰部」の描写は過剰にならないよう注意していました。描写があまりリアルだとストア側から「消去」「墨塗り」が指示される可能性があり、それは配信登録時の手間だけでなく、最適に仕上げたつもりの作品に手を加える結果になるからです。

「何もストア側がOKを出すどうかのボーダーラインを狙わずともエロ表現は勝負できるはず」なので、そこに挑むことをむしろ避けていました。
ところが今回、書籍データを配信登録したところFANZAから思わぬ差し戻しがきました。曰く「11〜12ページ目の女性器の描写に隠蔽がないので修正してください」…とのこと。

「え?そんな攻めてる絵を今回描いたっけ?」と思いながら指摘の画像ファイルを開いてみると、そこにあったのは「説明コマ」に用いた陰部の「模式図」。「緻密描写」からは程遠く、自分としては一切のエロを排除して描いたつもりで描いた「幾何学的な線の図画」でした。

唖然としながらもFANZAでこの作品を配信しないことは本位ではないので、指定された箇所にはなるべく必要な情報は伝わるように修正を加え、再登録したらOKでした。そんなわけで、今回はFANZAだけの「特別版」ができましたが…

どのようなような修正でOKが出るのか確認されたい方はこの本をFANZAでご入手ください。余談ですが、残り12ストアはいずれも「模式図」のままで配信登録してOKのようです。

電子自主配信と自主出版にまつわる昨今

電子自主配信をとりまく状況については、前回の11月以降は大きな変化は聞こえてきません。

強いて言うなら、前回記しました「Kindle無料マンガ(インディーズマンガ)」の出所不明な「分配金」の総額が毎月1000万円になったのが、今年の3月時点では1100万円になっていることぐらい。

そのせいではないと思いますが「Kindle無料マンガ(インディーズマンガ)」は相変わらず好調で、話題をよくSNSで見かけます。

中でも川尻こだま先生の「川尻こだまのただれた生活」が深夜アニメで放送されたことや、 雷句誠先生が「金色のガッシュ!! 2」の配信を開始されたことあたりがここ4ヶ月の大きな話題でした。「金色のガッシュ!! 2」正確には「自主配信」というより出版社: BIRGDIN BOARD Corp.を立ち上げての出版ですが。)

  

自主出版をとりまく状況でここ4ヶ月の間にあった大きい出来事は、やはり11月と2月のコミティアと年末のコミケの開催ではないかと思います。年末以降はコロナ第6波の新感染者数の増加を睨みながらでしたが、なんとか無事開催できた模様です。

参加人数規模はコロナ前の規模には遠く及んでいないようですが、ひとまずコロナ時代のイベントのあり方が示されたようで、私自身も夏のコミケのサークル参加は申請しました。

もう一つ、大きな注目を集めた出来事としては2月のコミティアと同日併催の形でPIXIVが主催したオンライン即売会「NEOKET2」の開始がありました。VR空間に時を同じくして大勢が集まり開催するイベントですが、「同時期性を強調することで参加者を集めて作品を頒布」という狙いには「いっせい配信」と同じ方向性を感じました。

www.pixiv.net

このようなVRイベントや各電子配信ストアが掲げるストア内イベントが「参加型」の開催をどれだけ実際の「作品頒布」に繋げられるかについては、これからも注視したいと思います。