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漫画家「なかせよしみ」がちょっとまとまった文章を公開するためのブログ

第4回いっせい配信企画「創作同人2017年9月」

4回目になります

 7月17日の第3回からわずか2ヶ月ちょっとですが、

創作同人電子書籍の「いっせい配信」企画の第4回目:「創作同人2017年9月」が明後日の土曜の9月23日(秋分の日)に実施されます。9月21日の現時点で企画には17名の作家が合計30作品の配信登録が確認されています。

以下のリンクよりその一覧をご覧になれます。

 

 

これ以外に、予約登録ができないPixiv BOOTHでのエントリーを予定されている作家さんや、まだデータを編纂中という方の情報が伝わっており、また、現時点での企画飛び入りも可能ですので、若干参加は増えると思われますが、参加作家数は20人前後、作品数は30数点ぐらいに収まるものと思われます。

このような企画は「開催の間隔が短くなると参加数は減る」という傾向が自然な状態ですので、参加数の「減少」ほぼ予想通りの状況です。その参加減少が個々の作品の販売にどう影響するかに、今回は注目してきたいと思います。

 

「まるかふぇ電書」のエントリー

当方の「まるかふぇ電書」ではなかせよしみ砂虫隼電子書籍あわせて3タイトルをエントリーさせました。 

砂虫さんのは8月20日のCOMITIA121発行の漫画エッセイ「もぐもぐ」シリーズの最新刊と1999年発行「竜飼い」シリーズの第5〜6巻、私のは8月13日の夏コミ発行の「漫画の先生」シリーズの最新刊です。

 

 

 

 

 

私は実は当初、今回の「第4回いっせい配信」に合わせてもう1冊、新刊の読み切り本を紙冊子に先立って発行する計画していたのですが、原稿の進行は大幅に予定より遅れて、途中より11月3日の「第5回いっせい配信」に照準を切り替えました。

地方イベントへの参加や「いっせい配信」企画の準備等の細々とした作業を優先していたら、知らぬ間に自分の原稿作業が滞っていたという状況ですが、なんとか次回の配信をデッドラインに頑張りたいと思っています。

 

「いっせい配信」をとりまく状況

4回目ともなりますと参加される方々もかなり要領に慣れ、また、マグネットのシステム不良以降懸念となっていた「固定式epub」データ作成の代替手段の情報も行き渡ったようで、大きな混乱はなかった模様です。

これまで毎回、いっせい配信に合わせて企画協力を提供くださったB☆Wは、今回は開催に合わせての事前の大きなアナウンス(参考:前回の企画協力)などはありませんでしたが、今回も「いっせい配信」作品の予約を対象としたコインキャンペーンなどの提供で後押しして下さっています。

 

私自身も、企画サイト内のエントリー書籍のリスト作成や、togetterのまとめ作業にも大部慣れて来ました。

 

自主出版電子書籍に対して「大きな購買層・購読層を確保する」という企画の一大目標は、正直なところまだまだ達成への道のりが長いですが、企画を「長く続けるための地盤固め」はかなり出来てきたように感じます。継続は力となり、企画の知名度となり、いずれは目標の地に立てるのではないか考えています。

 

「企画の意義」を改めて考える

最後に余談となりますが、最近いくつかのイベント参加の際に「いっせい配信企画」の意義について改めて考える機会があったので、その話を書かせていただきます。

 

先日の9月18日に小倉で開催された九州コミティアでは、私はサークルカットに「電子書籍自主配信応援」という文言をサークルカットに書き、参加直前のツイートには「電子書籍の自主配信についての相談ごとを何でも承ります。」という記載を入れてみました。

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…で、その結果、会場では「電子書籍についての質問がひっきりなしに来た」…などということはなかったものの、2月に発行した「創作同人電子書籍のススメ」は予想に反した売れ行きで完売し、これまでのイベント参加ではあまり誰も手に取らない「いっせい配信広報チラシ」もかなり持って行かれました。

https://pbs.twimg.com/media/DFvLVeUUMAA5Dnl.jpg

本を買われた方、チラシを持って行かれた方が果たして九州地元の方々なのか、遠征して九州にこられた方々だったのかは不明ですが、東京コミティアといま一番「対局の地」にあるコミティアでこういう需要が生じたことは、ちょっと驚きでした。(ちなみに、他の本の売れ行きはまあまあ予想通り)
九州コミティアの次回開催は来年秋だそうですが、もしかしてこの疎らな開催に対する需要の間を埋める形で電子書籍の配信及び購読への要求を高めているような気がしました。

東京のコミティアに気軽に通える人々が住んでいる場所は日本の中ではかなり小さい一方で、創作同人に対するニーズは全国に散らばっています。電子書籍配信およびそれを後押しする「いっせい配信」が果たせる役割は存外に大きいはずです。

 

 一方、9月の初めに板橋で開催されたMGM2.18では、すでに電子書籍配信をされている作家さんに「いっせい配信」企画への参加を打診したところ、「自分のところの電子書籍の配信開始時期は都合があって企画には合わせられない」という回答でした。ただ、その上で「企画には興味があるので、配信がもう済んでいる本を企画の配信日に合わせて広報することでエントリーを認めてもらえないか?」という打診を逆に受けました。

企画のひとつの目的としては、「なるべく多くの自主配信電子書籍の情報を世の中に広めること」もあるので、この提案は一考の余地があると思い、この打診をいったん自分のスペースに持ち帰らせてもらいました。

しかし、イベント時間中に私は考え直しました。「いっせい配信」を行う一番の目的は電子書籍を自主配信する作家にとって必須な各人のインターネット上の「広報活動」を効率化することです。「電子書籍配信の広報活動に力を入れるべき時期」である「配信開始日」を多くの作家と揃え、さらにお互いの広報活動を互助することで、各人の持つわずかな広報力を大きく増幅できるという仕組みです。

そのためにはやはり、企画エントリーには「電子書籍の配信開始日を指定日に揃える」という条件はやはり曲げることはできません。また、この条件を守ることで、まだ十分には知名度を得ていないこの企画ではありますが、参加に価する程度の効力は発揮していると思います。

そんなわけで、MGMにて遭遇したこの提案は上記の考え方を示して断らせていただきました。

 

「いっせい配信」企画が行われる意義とそれにエントリーする際に参加者が力を入れるべき内容について参考になる話ではないかと思い、この話を記させていただきました。